理学部研究紹介2019
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5研究から広がる未来卒業後の未来像数学科数理科学コース数学を学ぶということは、人生のあらゆる面で論理的に判断する能力が鍛えられます。数学を学ぶということは、人生のあらゆる面で論理的に判断する能力が鍛えられます。数学を学ぶということは、人生のあらゆる面で論理的に判断する能力が鍛えられます。さらに実生活ではこの能力を持っているというだけでなく、行動することが重要です。学生達が真の意味で「自分の人生を生きる」ということに対峙したとき、この能力を持っていることが自分にとって本当に重要なことに気付くでしょう。世の中のおおよその事象は、数学的な見地から微分方程式の逆問題として解析することが可能です。例えば、電気インピーダンス・トモグラフィ:身体に電極を何本かつないで電気を流す。電気の電流と電圧を測定して、身体中の状態を測定する。この問題は、微分方程式の逆問題の形で解けます。津波予測、飛行機の翼にあるクラック診断なども逆問題の形で解けるわけです。ロシア・サラトフ大学数学科卒業。数学博士、専門は解析学研究。トルシン イゴール 教授トルシン イゴール研究室私の研究テーマは、微分方程式の逆問題(の周辺)となります。逆問題は色々な科学と工学の問題からきます。順問題とは入力(原因とメカニズム)から出力(結果、観測)を求めます。その逆に、出力(結果)から入力(原因とメカニズム)を推定する問題のことは逆問題と呼ばれます。「ある女の人は、お腹が痛いとき不機嫌です。」ここでは“お腹が痛い”は原因、“不機嫌”は結果。つまり、女の人の不機嫌の理由が分かることが逆問題といえるでしょう。(色々な理由が考えられるが、解は「お腹が痛いでしょうか?」となります。)もうひとつの例は、“太鼓逆問題”(スペクトル逆問題のひとつ)です。太鼓の音は、太鼓の固有振動数で決められている、そして太鼓の形にも依存している。つまり、“太鼓逆問題”とは、音(固有振動数)から太鼓の形を求めることができます。こういったスペクトル逆問題を重点的に掘り下げています。逆問題の理論数学科研究から広がる未来卒業後の未来像数理科学コース非圧縮Navier-Stokes方程式:uは流体の速度ベクトル、pは流体の圧力。fとaはそれぞれ、外力と初期速度場を表す。−Δuは摩擦力、(u・∇)uは慣性力を表す。1: 波動方程式、2: Beochner-Riesz 平均、3: Fourier restriction、4: Kakeya maximal function。 これらは全て、Kakeya予想に深く関連する。しっかりとした論理的思考力がつけば、どのような職種でも活躍できると思います。近年は、Googleなどの大企業が数学科出身者を積極的に雇用しているということをよく聞きます。その他にも、アクチュアリーや中学・高校の教員になる人も多いです。Kakeya予想については、それの解決が実社会に影響を与えることはないように思います。ただし、この予想の解決がSchr¨odinger方程式などの研究を促進させ、そこからなにかしらの影響をあたえることになるかもしれません。Navier-Stokes方程式に関しては、天気予報の精度をあげることに多少の貢献はあるやもしれませし、水道管破裂のニュースを聞く頻度を下げるやもしれません。1982 年 大阪生まれ大阪府立港高校 卒業愛媛大学 理学部 数理科学科 卒業大阪大学大学院 数学専攻博士前期/後期課程修了筒井 容平 准教授筒井 容平 研究室私は、実解析学の研究とそれを用いた偏微分方程式の研究を行っています。実解析学の研究では、最近Kakeya予想とその周辺の問題に興味があります。Kakeya予想は、掛谷宗一先生の提唱した問題が元となっており、世界中で活発に研究されています。偏微分方程式論の研究としては、特に水などの運動を記述する非圧縮Navier-Stokes方程式を実解析学の知識を用いて扱っています。他にも、上記の実解析学の研究に関連してSchr¨odinger方程式などの分散型方程式にも興味を持ち始めています。実解析学と偏微分方程式論

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