理学部研究紹介2019
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25理学科理学科生物学コース生物学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像恒温室で系統ごとに飼育、受精卵をチェック中。婚姻色で真っ黒になるインドメダカ。卒業生は高校理科教員、一般公務員、また大学院進学(他大学含む)したのち一般企業開発試験部門や環境関連企業への就職など、多岐にわたります。新潟大学大学院自然科学研究科生命システム科学(博士)岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所生殖生物学研究室柴田 直樹 准教授科学とは、本来、私たちが居るのはどのような世界か?私たちヒトとはなんぞや?という問いが根本です。身近に、またある地域に目立たず存在するような小さな生き物の実態を丁寧に調べていくことは、これらの問い、つまりヒトが存在する所の周囲がどのように成り立っているか、さらに、ヒトも生物の一種ですから、我々自身のことを知ることへ繋がると思っています。メダカには遺伝的に一定の性質をもつように作られた系統が複数存在し、これらの系統を用いることで個体差のない再現性のある解析を行うことができます。また東アジアから東南アジアにかけて様々な近縁種が知られ、これらも実験解析に用いることができます。これらの特徴を生かして、性と生殖に関わる事柄を、近縁種に見られる独特の性の分化、人為的な性転換に見られる系統差、メダカ雄の二次性徴である雄で発達する歯の役割(行動や雌との関わり方への影響)、など、細胞レベルから個体レベルまで、様々なテーマで研究しています。メダカで調べる雄と雌:        細胞から行動まで植物分子生理学研究室アントシアニンを蓄積しなくなったシロイヌナズナの突然変遺体の写真。野生型(左)と比べて右の突然変異体はアントシアニンを蓄積していない。この突然変異体を用いてアントシアニン生合成に関わる遺伝子を同定した。アントシアニンの生合成を調節する遺伝子を過剰に発現させたゼニゴケの写真。野生型(左)と比べて調節遺伝子を過剰発現させたゼニゴケ(右)では多量のアントシアニンを蓄積する。出身:富山県富山第一高校卒京都大学農学部卒専門:植物生理学   分子生物学久保 浩義 教授学んだ専門を社会で生かしていくには学部の勉強だけではむずかしい状況で、大学院に進学する人が結構います。また、教員や公務員になる人もいます。植物は様々な二次代謝成分を蓄積しますが、その中には医薬品などに役立っている化合物も多数あります。これらの化合物の生合成を調節している仕組みが明らかになれば、有用な成分を多量に蓄積する植物を作ることができるかもしれません。また、どのようなアントシアニンがどこに蓄積するかを決めている仕組みが分かれば、いろいろな色や模様の花を作ることができるかもしれません。私の研究室では、シロイヌナズナやゼニゴケを実験材料として用いて、植物の二次代謝や形態形成について調べています。シロイヌナズナもゼニゴケも、あまり見栄えのしないどちらかといえば嫌われ者の植物ですが、実験材料としての有利な性質をたくさん持っており、研究に大変役に立っている植物です。また、シロイヌナズナのような陸上生活に適応した植物と、ゼニゴケのような陸上植物の進化の基部にある植物を比較することで、 植物が示すいろいろな反応を進化的観点から見ることもできます。現在私の研究室で最も力を入れているのは、アントシアニンを始めとしたいろいろな二次代謝成分の生合成を制御している調節遺伝子に関する研究です。植物に問い、植物に学ぶ

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