理学部研究紹介2019
27/40

23理学科理学科地球学コース地球学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像江島 研究室地表で高温酸化した岩石。玄武岩に捕獲された上部マントルの一部(左図)と石鉄隕石(右図)。黄緑色の粒子は、かんらん石。島根大学で博士課程を修了後、2017年より現職。博士(理学)。研究分野は、鉱物学、岩石学、資源鉱物学。江島 輝美 助教地質調査および岩石・鉱物記載を中心とした研究を推奨し、講義で習得した野外調査技術・分析技術の応用能力を身に付けてもらいたいと思っています。大学で培った能力を生かせる職に就けるよう助力するつもりです。私がこれまで主な研究対象としてきたかんらん石は、地殻、上部マントル、隕石を構成している主要鉱物の一つです。かんらん石の鉄の酸化数やその変化によって引き起こされる鉱物の構造変化や相変化は、火成岩・マントル物質・隕石が形成した際の酸化還元状態や岩石が経験した環境変化を反映するため、地球規模での物質循環を理解する上で重要です。これまでに地球でどのような物質循環が起こっていたかが明らかになれば、今後の地球の変遷の解明にもつながってきます。 地球の内部の情報を得るためには、地殻変動やマグマへの捕獲などによって、地表付近に運ばれてきた岩石を調べるのが一般的です。しかし、地球内部での岩石の形成環境や捕獲してきたマグマの形成環境を正しく評価するためには、地表付近における岩石・鉱物の変質の影響も考慮する必要があります。そこで、私はこれまで、溶岩・スコリア・上部マントル・隕石を構成する主要鉱物の酸化による構造や相変化について研究を行ってきました。主要造岩鉱物の研究     地球内部の物質循環の解明顕微鏡下で観察されるミクロスケールの微細褶曲構造野外で観察される数十mスケールの褶曲構造山口大学、名古屋大学大学院、産業技術総合研究所を経て、2016年より現職。研究分野は、構造地質学、変成岩岩石学、熱モデリング、ラマン分光分析。森 宏 助教森 研究室研究では野外調査・分析など様々な手法を併用するとともに、他機関との交流も多くあります。これらの活動を通して、論理的な考え方、積極性、コミュニケーション能力などを養い、社会で幅広く活躍してもらいたいと考えています。地震活動や火山活動は、地下深部での断層運動やマグマ発生に起因します。ただしこれら深部を直接観察することは出来ません。地表に露出する岩石は、かつて長期間にわたって地球内部(地下深部)で発生した現象の情報を記録しているため、岩石の研究は、深部の直接的な現象観察や長い時間を要する変形や熱の影響検証が可能であり、さらには将来起こりうる現象の長期予測にもつながります。普段何気なく目にする岩石には、直接観察することが困難な地下深部の貴重な情報が記録されています。地下数km〜数十kmで形成された変成岩・堆積岩・断層岩などを対象として、野外や顕微鏡下といった様々なスケールでの観察に基づく地質構造解析とともに、ラマン分光分析装置などを使った岩石試料分析、さらにはコンピュータ上でのシミュレーションによる温度・圧力条件などの定量評価を行い、「岩石が地下深部からどのように上昇してきたのか?」、「現在の地球内部では何が起こっているのか?」といったことを地表に露出する岩石から探る研究に取り組んでいます。 岩石から読み解く地球内部の世界

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る