理学部研究紹介2019
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9理学科物理学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像理学科物理学コース宇宙開闢を解き明かす、最終兵器ILC加速器と研究都市の予想図。そこで実験を行うILD測定器の開発研究を進めている。LHC加速器ATLAS実験装置で測定したヒッグス粒子が4つのミュー粒子へ崩壊する事象、私たちはミュー粒子の検出を分担している。物理学の実験を対象に学生生活を送ると、多くの基礎知識とその応用を自分で使うことになります。これは社会に出て多いに役立つと考えています。そしてどんな社会活動も物理という基本が出来ていれば乗り越えることができます。 138億年前の宇宙誕生は夢物語では無く、体や物体の究極の構成基本要素を探る素粒子研究が、今やこの世界で最も大きな対象である宇宙の謎を解き明かそうとしています。しかしまだまだ分からない事がたくさんあります。その一つ一つを解明してゆく過程は地道な英知の積み重ねです。「宇宙を理解する」という大きな夢に向かって、一歩一歩研究を進めて行く楽しさがあります。加速器実験はタイムマシン:          宇宙開闢に迫る1982年広島大学大学院終了、理学博士、同年東京大学助手、1991年から信州大学助教授、教授素粒子物理学実験、電子陽電子衝突型実験OPALにおいて精密測定-素粒子の世代数を3と決定。陽子陽子衝突実験LHCにおいて新粒子探索-ヒッグス粒子発見竹下 徹 教授竹下 研究室世界最大の加速器LHC実験に参加して、宇宙開闢の謎解きを行っています。138億年前の宇宙の初まりを解明をする意味で加速器はタイムマシンに例えられます。超高エネルギー状態であった宇宙初期を人工的に作り出し、宇宙開闢0.01ナノ秒の時代を研究しています。LHC加速器はヒッグス粒子を発見し宇宙で質量が生まれた起源の解明に進みつつ有ります。次には銀河誕生の要因であるダークマターの発見が期待されています。さらにILC加速器計画に参画し、次世代「タイムマシン」による宇宙誕生のなぞに迫る研究に取り組んで行きます。様々な次元に広がったブレーンブレーンに端を持つ開いたひも大学卒業後は、大学院へ進んでさらに最新の研究について学んだり、IT企業などに就職して大学で学んだ知識を生かして活躍しています。超弦理論は、重力を時空の曲がりとして表すアインシュタインの一般相対性理論と、微小な世界での物理法則である量子力学を矛盾なく統一できると期待されています。超弦理論は未完成の理論ですが、完成した暁には宇宙のはじまりやブラックホールの性質など、時空の量子論にまつわる多くの謎が解明できるはずです。遠い未来には時間や空間を自由に操作できるようになっているかもしれません。1994 東京大学理学部物理学科卒業、1999 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了 (博士(理学))奥山 和美 准教授奥山 研究室物質を細かく分けていくと何からできているのか?この古代ギリシア以来の疑問を研究するのが素粒子理論です。私は物質の究極の構成要素は粒子ではなく「ひも」であるという超弦理論を研究しています。最近の研究によって「ひも(弦)」だけでなく様々な次元の広がりを持つ「膜(ブレーン)」も重要であることがわかってきました。また、平面上の情報から立体が浮かび上がるホログラムのように、時空の量子的な性質の背後には「ホログラフィー原理」があり、低次元の膜(ブレーン)の上の情報から高次元の時空が創出されるという現象を詳しく調べています。超弦理論とブレーンの世界

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