信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
41/48

39麻酔科学:苦痛を除いて命を守る“患者さんが眠っている間に手術が終わり、目が覚めた時は痛みもなく元気でいる”これを実現させるのが、手術室での麻酔科医の仕事です。そのためには、痛み・意識などの神経系、呼吸や心臓などの全身循環、感染やストレスに対する免疫反応、絶食中の水分・栄養管理など、統合されたシステムとしての生体の理解と制御が必要です。当教室では、痛みのメカニズムの解明、新規鎮痛薬・鎮痛法の開発、手術中の新たなモニタリング(生体機能評価)、術後痛/術後合併症の予防、免疫応答のメカニズムと神経性調節などの臨床研究・基礎研究に取り組んでいます。・新たな神経モニタリング法の開発・痛みのメカニズムの解明と新規鎮痛薬の開発・鎮痛薬の作用機序・副作用機序の解明・生体侵襲に対する免疫反応と制御・手術に伴う合併症の早期発見と治療を実現する周術期管理チーム・生体監視機器(モニタリング)と手術中の全身管理に関する研究当教室の研究から得られた知見は、痛みの軽減や全身状態の改善に直結するため、患者さんのよりよりアウトカムに強く寄与できます。特に痛みの基礎研究では、痛みのメカニズムの解明を通して、意識の変化や運動麻痺などの副作用がない新しい鎮痛薬を開発しようとしています。さらなる研究のために、国内や海外への留学や研修を行うことができます。また、麻酔蘇生学教室の教室員、教員として、診療や研究を継続することもできます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像麻酔蘇生学(教授 川真田樹人)麻酔蘇生学教室メンバー多くの生体監視機器を用いて行う心臓血管外科麻酔電気生理学的手法を用いた痛みのメカニズムの研究全年齢・全身の機能と見た目を取り戻し、人生を豊かにする未来の治癒と再生を目指そう形成再建外科学は、先天異常、外傷あるいは腫瘍切除が原因で生じた組織欠損を再生修復する方法を探求する学問で、全診療科の中でも唯一、治療のために形を作り出す診療科です。組織欠損を解決することで、外観の異常と機能の低下を改善し、生活の質を向上させる臨床の現場に直結する研究と教育を行っています。解剖学や形態組織学に加えて、創傷治癒、組織移植や組織再生など、あらゆる手段を探求し、それを臨床の現場に活かしていきます。・顔面計測による研究・赤唇の再建と再生治療に向けての組織学的研究・爪甲変形に対する新規治療法開発・赤外線血流モニター、体成分分析装置を用いた研究顔の各部位の大きさは様々ですが、日本人の顔の基準がわかればよりよい治療へつなげることが出来ます。また現在では欠損すると修復が難しい口唇や指を失っても近い未来には再生できるかもしれません。そんな未来を目指して様々な手法を用いて再生へ向けた研究を行っています。大学や関連病院で幅広い分野の手術症例を経験することで、形成外科医としてのスキルを磨いていきます。その後は大学職員や関連病院の医師として勤務、または開業される先生もいます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像形成再建外科学(教授 杠 俊介)【顔面計測学】顔面計測に用いる各基準点【赤唇の組織像】左:Hematoxylin-Eosin染色、右:Azan染色【体成分分析装置】リンパ浮腫の治療前後の評価で使用しているInbody S10®(InBody)

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る