信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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36将来の眼の治療薬? 「アドレノメデュリン」アドレノメデュリンと呼ばれる血管を拡張させる体内物質があります。最近になりアドレノメデュリンが網膜の病気をよくする可能性がでてきました。私たちはアドレノメデュリンやその作用に必要なRAMPという物質が眼にどのような影響を与えているのか着目しています。ノックアウトマウスと呼ばれるアドレノメデュリンやRAMPが先天的に少ないマウスを用いて、人工的に網膜に血管閉塞や新生血管をレーザー装置を用いて作りその物質で良くなるか、悪くなるかを研究しています。・アドレノメデュリンやRAMPのマウス網膜への影響の研究・ 眼の血管閉塞や新生血管をレーザーを用いて人工的に起こしたマウスの網膜の研究・糖尿病を持っているマウスの網膜の研究高齢化社会が進むにつれて糖尿病や網膜の血管閉塞症など目の病気が増えることが予想されます。これらの病気にはすでに様々な治療がありますが、もしかすると将来的にこのアドレノメデュリンが治療の1つの選択肢になるかもしれません。卒業後は引き続き当院眼科医局で勤務しながら研究したり、臨床に専念したりします。中には取得した学位を盾に市中病院へ勤務される先生や開業される先生もいます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像眼科学(教授 村田敏規)   とある実験をしたRAMPノックアウトマウスの網膜の展開標本   血管が緑に映っている 細かい血管がとても神秘的だ新生血管を特殊な液でそめて大きくしたものアドレノメデュリンが働くか働かないかで大きさが変化する…レーザー装置難聴の遺伝子解析と新規治療法の探索生まれつき耳の聞こえない、先天性難聴の原因の60%は、遺伝子が関与しています。我々は、「遺伝子」に着目し、難聴の患者さんの遺伝子解析を行って難聴の原因遺伝子変異を多く発見してきました。この成果もあり、現在では、どこの病院でも「難聴の遺伝子診断」が保険診療として行うことができるようになりました。近年「次世代シークエンサー」という最新の遺伝子解析機器が開発され、超高速に遺伝子解析を行うことが可能になりました。これをいち早く教室に導入、全国一の難聴の遺伝子解析の拠点となっています。・「次世代シークエンサー」を用いた網羅的な難聴遺伝子解析・ 全エクソン・シークエンスによる、新規難聴原因遺伝子の研究・ 疾患特異的iPS細胞の樹立による、遺伝性難聴の病態解析病気を治療するには、まず原因を知らなくてはいけません。難聴の原因は長年不明なままでした。遺伝子解析により、多くの難聴患者さんの原因が特定されるようになりました。これからは、その原因にダイレクトに効く治療方法を探求する時代に突入します!難聴の原因にそった治療を見つけよう!同じ「難聴」でも原因は様々。医者として手術で治療する人工内耳、研究者として薬剤を探索。「難聴治療」はこれから発展する分野です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像耳鼻咽喉科学(教授 宇佐美 真一)遺伝子解析の実験:次世代シークエンサーを始め多くの機器が整備されていますiPS細胞などを用いた難聴の病態解析のための疾患解析実験も行っています

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