信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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31最先端医療を駆使して低侵襲で神経機能を温存した脳神経疾患の治療を行う研究・診療内容の概要信州大学医学部脳神経外科学教室では、「最先端医療を駆使して低侵襲手術・機能温存治療を行う」を一貫とした治療方針として、脳血管障害・脳腫瘍・脊髄疾患などに対しての外科治療を行っています。また、各関連病院と連携して高レベルの脳神経外科診療を行うことで、より多くの優秀な脳神経外科医を育成することも目標としています。各脳神経外科疾患ごとに、以下のテーマの研究を行っています。1. 低侵襲手術アプローチ研究:頭蓋底深部の病変に対する治療のより安全なルート、手術方法の開発2. 手術機器研究・開発:手術をより安全確実に行う手術器具の開発3. 手術シミュレーション研究:静止および動画の三次元画像を、手術シミュレーションに応用できるよう開発4. 微小脳神経外科解剖研究:より精密な脳神経外科手術が行えるよう、脳の局所の解剖の把握と研究 5. 術中神経機能モニタリング・マッピング研究:機能温存のため、術中に電気生理学的手法を用いて神経機能の同定、評価の研究6. ロボット支援手術装置および手技の研究・開発:世界にさきがけ、脳神経外科手術における低侵襲を目指した手術支援及びロボットの開発、臨床応用研究7. 悪性脳腫瘍の遺伝子解析・研究:遺伝子解析を行い、最適な化学療法を探り悪性脳腫瘍の成績向上に関する研究【疾患班名】 1.脳血管障害治療 班 2.脳腫瘍(髄外 / 髄内) 班 3.機能的脳神経外科 班 4.低侵襲脊椎脊髄 班 5.神経内視鏡治療 班 6.脳血管内治療 班脳神経外科学脳血管外科は、脳神経外科の中で基本となる手技をまなべる分野です脳血管障害治療 班(チーフ:准教授 堀内哲吉)脳神経外科学脳血管障害は、以前は“脳卒中”と呼ばれていた疾患です。“卒”とは「突然」の意味で、“中”は中(あた)る(傷がつく・倒れる)の意味があります。つまり、脳卒中とは、脳が原因で突然しゃべれなくなったり手足が動かなくなったりするということを意味しています。当研究室では、脳血管障害による死亡ならびに後遺症を減少させるための外科治療方法の研究と開発をしております。特に、脳動脈瘤治療におけるクリッピング術、脳塞栓症における血栓除去術に関して精力的に研究しています。・内頚動脈瘤直達手術 ・虚血性脳血管障害の急性期外科治療 ・新しい手術方法の開発 脳血管障害治療は、直達手術と血管内治療があります。両治療は、それぞれメリットとデメリットがあり相補的な関係で今後も発展していく分野です。直達手術治療の手技も、診断機器の発展や器具の改良により、今後も飛躍する分野です。当研究室では、生命予後のみならず機能予後を改善できる外科治療の開発と外科医の育成に取り組んでいます。脳血管障害は、幅広い分野の内容を含み患者数も多いので、それらの知識・経験を身につけることは臨床医にとって重要です。また、救急科治療、リハビリ科治療、ならびに神経内科治療でも応用可能と思われます。 主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像脳神経外科トップジャーナルの表紙に採用された脳血管障害班の 傍鞍部内頚動脈瘤治療論文 J Neurosurg 123:460-466, 2015脳動脈瘤クリッピング後脳動脈瘤クリッピング前

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