信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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30希少がんに苦しむ人たちの未来のために~新規治療薬・治療体系開発への挑戦~腫瘍 班(チーフ:診療助教 鬼頭宗久)運動機能学整形外科(骨・軟部)領域のがんは、発生頻度が低く症例数が少ないため“希少がん”と呼ばれています。そのためまだまだ診断法・治療法の開発は遅れており、不幸な結果となってしまう患者さんが数多く存在します。信州大学腫瘍グループでは、悪性骨腫瘍に対する新規治療薬の開発や抗がん剤を腫瘍に効率的に届ける方法の開発、悪性軟部腫瘍の新規診断基準の開発などの研究をしています。臨床分野においては、骨転移による病的骨折予防のためのCT画像を用いた骨形態評価や悪性軟部腫瘍患者の下肢筋力と術後機能予測などの研究をしています。・悪性骨腫瘍に対する新規薬剤の開発・ 悪性軟部腫瘍における糖鎖遺伝子発現解析と組織学的悪性度診断基準の確立・溶骨性変化を伴う大腿骨病的骨折患者のCT画像を用いた骨形態評価・悪性軟部腫瘍患者の下肢筋力と術後機能予測整形外科領域のがんにおける研究は、その他の領域のがんと比較して遅れており、研究テーマは豊富です。新たな治療薬の開発や治療体系を確立することで、今もなお、がんで苦しむ患者さんの“未来を創る”手助けができます。整形外科領域のがんを専門とした医師は少ないため、当教室で学ぶことで研究分野・臨床分野のどちらであってもエキスパートになれます。日本国内に留まらず世界で活躍できる医師・研究者を目指せます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像新規治療薬の開発のために日々研究している大学院生CT画像を用いて骨形態解析を行い、骨折リスクを予測ハンドヘルドダイナモメーター等速性筋力測定装置 を用いた筋力測定骨の病気の本態を解き明かす!~“遺伝子”という観点から~関節リウマチ・骨粗鬆症班(チーフ:講師 中村幸男)整形外科先天性の骨系統疾患、関節リウマチや骨粗鬆症のために骨破壊や疼痛に悩む患者さんはたくさんおりますが、その多くは原因不明で、有効な診断法や治療法が確立されていない疾患がほとんどです。私共は病気の原因遺伝子を同定して機能を明らかにすることで、確定診断や新しい治療法の開発を目指しています。また骨代謝の観点から、米国ハーバード大学をはじめ国内外の多くの施設と共同研究を進めており、様々な疾患アプローチを行っています。・先天性骨系統疾患の原因遺伝子同定と機能解析・健康寿命延伸を目指した地域での取り組み  ~骨粗鬆症・ロコモティブシンドローム予防・対策~     ・骨粗鬆症、関節リウマチの病態メカニズム解明と新規薬剤の効果検証・WNTシグナル、スクレロスチンを基盤とした疾患の分子メカニズム解明病気の原因遺伝子とその機能解明により、血液や尿による簡便な診断や、新しい治療が可能になります。手術を含めた治療の選択肢が大きく広がり、様々な症状に悩む患者さんに福音をもたらします。骨代謝から考える健康寿命延伸を信州から全国に向けて発信します。最先端の基礎研究・臨床研究を多数手がけることによって、様々な専門的手技や知識とともに、物事を論理的に考えてプレゼンテーションする能力が身につきます。医学や患者さんに関わる、その後のいかなる進路にも役立つ能力を得ることができ、さらなる飛躍が期待できます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像ゼブラフィッシュは骨格を有し、骨の遺伝子研究に最適ゼブラフィッシュ卵(直径0.5-1mm程度)への注射(遺伝子導入)

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