信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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27ひとりひとりの患者さんに最先端で最適な医療の提供をめざして心臓血管外科部門(チーフ:准教授 瀬戸達一郎)外科学当科では、心臓疾患から大動脈疾患、静脈やリンパ管をも含めた末梢血管疾患に至るまで、体内の循環臓器全般を対象とした外科治療を行っています。特に重篤な全身合併症をお持ちの患者さん、超高齢者の患者さん、複合病変をお持ちの患者さんなどに対する集学的治療においては、大学病院という利点を活かし循環器内科をはじめとした各診療科との連携のもと、患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指して診療を行っています。・iPS細胞を用いた心筋再生・胸腹部大動脈手術における合併症の予防法の開発・ 組換えビフィズス菌を用いる疾患部選択的な新規虚血性疾患治療薬の開発研究・心臓移植後拒絶反応の病態解明と治療法の開発今日乗り越えられないため禁忌とされていたことが、ひとつのブレークスルー(壁を打ち破る事柄)により明日には適応となることがあります。臨床に役立つブレークスルー研究を行い世界に情報を発信することが我々の夢でもあります。当科では、優れた臨床医の育成を目標として、卒後臨床研修において、科全体で力を注いでいます。より多くの手術ができる専門医となり、世界に情報を発信できる医師を育てます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像心臓手術の様子患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指すiPS細胞を用いた心筋再生Shiba, et al. Nature 2016; ⦆538: 388-391.より引用改変血管新生因子を発現・分泌する組換えビフィズス菌製剤を用いた新薬を創出・開発している乳癌・甲状腺癌・肺癌・縦隔腫瘍のスペシャリストを目指して!乳腺内分泌・呼吸器外科部門(チーフ:教授 伊藤研一)外科学外科は手術により患者さんの病に治すことができるとても魅力的な診療科です。その中で乳腺内分泌部門では、乳癌、肺癌、甲状腺癌を、呼吸器外科部門では、肺癌や縦隔腫瘍など、主に腫瘍の外科診療を行っています。呼吸器外科部門では患者さんの身体の負担の少ない内視鏡手術が積極的に行われており、ロボット支援下での手術も行われています。また、腫瘍を科学的に考え治療を遂行できる「Academic surgeon」を育成すべく、腫瘍の基礎医学的な研究にも力を入れています。臨床および研究の成果を信州から世界に向けて発信し、地域では専門性の高い外科医療を提供できるように、教室員一同努力しています。・甲状腺癌、乳癌、肺癌の発癌や悪性度の伸展の機序の解析・肺癌、乳癌に抗癌剤が効かなくなる機序(抗癌剤耐性)の解析目指すべきもの・日本で罹患率の高い乳癌、肺癌、甲状腺癌に立ち向かう専門性の高い腫瘍外科医。・基礎研究を通し、その成果の理解のもとに診療や臨床研究を行うことができる 「Academic surgeon」。手術を最大の武器に患者さんの病に挑んでいく外科医はやりがいに満ちあふれています。若い時期に研究にも取り組み、臨床で経験される疑問や問題点に立ち向かう意識を常に持ち、創造性豊かな「Academic surgeon」として信州はもちろん、世界に羽ばたきましょう。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像【上】胸腔鏡手術 胸腔内【下】呼吸器外科 ロボット手術【上】乳腺内分泌外科手術【下】教室内での研究の様子【上】乳癌術前マンモグラフィ(矢印)【下】肺癌術前CT(矢印)【上】肺癌組織での転写因子YB-1の発現【下】乳癌細胞での様々な蛋白発現の変化⬅⬅

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