信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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20筋ジストロフィーをはじめとする難治性筋疾患の病態解明・治療法開発研究筋疾患 班(チーフ:特任教授 中村昭則)内科学第三筋疾患研究チームは筋ジストロフィーをはじめとした難治性の筋肉の病気について、その原因や病態の解明と新たな治療法の開発の研究に取り組んでいます。患者さんの骨格筋を採取する筋生検、筋タンパク質の解析を用いた筋ジストロフィーの診断や遺伝子解析を行っています。また、筋ジストロフィー患者さんの末梢血リンパ球から作成したiPS細胞を使った遺伝子治療(エクソン・スキップ)の開発、筋ジストロフィーモデルマウス(mdxマウス)を使った病気のメカニズムに関する研究などを行っています。ジストロフィンの欠損によって発症するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、病態に合わせた治療開発が進み、新しい治療薬を実際の患者さんに投与する治験も行われており、今後さらなる発展が期待される分野です。・筋ジストロフィー患者の診断・遺伝子解析、治療研究・DMD遺伝子エクソン45-55を欠失した筋ジストロフィーに関する研究・ DMD患者由来iPS細胞を用いたエクソン・スキップ治療に関する研究・ 筋ジストロフィーモデル動物を用いたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2、-9の作用に関する研究現在、筋ジストロフィーの多くは有効な治療法がない難治性の病気です。しかしながら、最近の遺伝学的知見の広がりや、モデル動物を用いた研究、iPS細胞技術を利用できるようになったことで、病気の原因や病態に関する解明と治療薬の開発が進んでいます。当研究室では、筋ジストロフィーの病気の原因(遺伝子変異)や病態機序に基づく先駆的な治療法を提案しその開発研究を行っており、世界から注目されています。より安全で効果的な筋ジストロフィー治療を世界に発信していきます。主な研究テーマ研究から広がる未来デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の臨床的特徴。筋生検による筋障害の所見と免疫染色によるジストロフィン欠損の確認(右下)DMD-iPSCsDMD-iPSC-CMs(Jackson Lab.)筋ジストロフィーモデルマウスのMMP-2欠損による筋再生障害(左下)とMMP-9欠損による筋線維化の増悪(右下)立ち上がりの困難(登攀性起立)H&EジストロフィンDMD患者由来iPS細胞と心筋細胞(上)。遺伝子治療薬に投与よるジストロフィンの回復(下:  )自己免疫障害メカニズム解明への挑戦先端医療技術習得と最先端医療の提供!リウマチ・膠原病 班(チーフ:准教授 下島恭弘)内科学第三難治性リウマチ性疾患および膠原病に対する有効な治療の開発研究難治性リウマチ性疾患および膠原病の病態解明研究家族性地中海熱の遺伝子診断と遺伝型/表現型の関連研究全身性血管炎に合併する神経障害の病態解明研究私たちの身体は、「免疫」という「身体の防御システム」によって、病原体の侵入から守られています。リウマチ性疾患や膠原病は、この免疫システムが自分を攻撃するために発症しますが、未だ治療抵抗性の患者さんも経験されます。私たちは、患者さんが完全治癒できることを目指し、免疫システム障害の原因を解明して有効な治療を開発する研究を続けています。リウマチ・膠原病の専門医として、身につけた知識や技術を生かし、医療の発展や教育の向上に寄与します。また、病態の基礎研究を更に発展させるため、海外の研究施設に留学して技術を高めることも選択されます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像実験や調査、およびデータ解析の技術向上に努め、医療に貢献できる研究成果の達成に努めています

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