信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
15/48

13再生医療で様々な病気を治療する人の体は元々ひとつの受精卵が心臓、脳、筋肉、腎臓、肝臓など様々な約200種類の細胞に"分化"することにより形成されます。しかし出生後は分化能が失われ、病気によって障害された臓器の修復は困難となります。そこで私たちは、受精卵と類似した性質をもつ"幹細胞"を最新の科学技術によって再生医療に応用し、病気を治療するための研究を行っています。・ 多能性幹細胞を用いた心臓再生治療   幹細胞から心臓の筋肉(心筋細胞)を作り心臓病サルなどに移植し、治療効果を検討しています。さらに幹細胞からバイオペースメーカーを作り、有効性を確かめています。・ 骨格筋再生治療   筋ジストロフィーなどの筋疾患に対して、再生・遺伝子治療を組み合わせて新規の治療法を開発します。医療は日々進歩していますが、未だに根本的治療法が受けられず病気によって苦しんでいる患者さんが多くいます。例えば末期の心臓病では、臓器提供者の不足により心臓移植が受けられずに多くの患者さんが亡くなっています。このような患者さんに対して、再生医療という全く新しい治療が今後急速に進んで行くことが期待されます。主な研究テーマ研究から広がる未来再生医科学(教授 柴 祐司)細胞培養室での光景; iPS細胞、心筋細胞などを培養しています教室では大学院教育を通じて、論理的思考力を育てます。また、継続して研究できるよう奨学金やリサーチアシスタント制度などを利用して生活サポートを行っています。さらに、海外留学希望者には積極的に支援し、将来国内外で活躍するリーダーを育成します卒業後の未来像医療の根幹は『人』人を育てれば、医療はもっとよくなる21世紀に入り、医学教育は、・ 「経験・勘・根性」から、心理学や行動科学などの理論に基づいた「計画的デザイン」へ、・ 教育者が知識を注入するだけの「受動的活動」から、自ら学び成長し続けられる医療者を育成する「主体的活動」へ、といった変革を迎えています。私達は、良質な医療人を育成するために、最先端の医学教育学を医療専門職育成の場に導入する実践活動や研究に取り組んでいます。・医療従事者の地域啓発活動への関与・カリキュラム改革が学生に与える影響・新たな協調学習、アクティブラーニング手法の開発・診療参加型臨床実習における知識・技能・態度の総合的評価手法・ オンライン学習環境を組み合わせたグループ学習カリキュラムを構築し、学生がより意欲的に授業に参加できるようになりました。・ 医療従事者が地域啓発活動に参加することで得られた成長を明らかにすることで、活動の充実と活性化に寄与しました。・ 県内企業と試験問題管理システムを共同開発しました。・ 医学教育学全般の知識を得ることで、自身および自施設の教育活動を分析し、改善することができるようになります。・ 量的・質的研究手法を修得して、教育・臨床研究に活用することができます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像医学教育学(教授 多田 剛)多職種連携教育プログラムの参与的開発研究(写真:医学科・保健学科生によるロールプレイ)県内医療機関との強固なネットワークを生かして、さまざまな分野での医療者教育研究も行う(写真左:高校生の体験会、右:臨床研修現場)

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る