信大医学部医学科研究紹介2019(日本語)
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9炎症性疾患を免疫学・病理学的に解明する慢性炎症は、がん、生活習慣病、神経変性疾患、自己免疫疾患、動脈硬化症など様々な病気の原因となることが、近年わかってきました。本研究室では、様々な動物モデルをもちいて、腫瘍や自己炎症性疾患の病態解明や発症要因を探っています。・大腸癌発症と腸内細菌の関連・自己炎症性疾患の免疫学的解析・胃癌発生における腺粘液糖鎖の機能と感染症との関連病気の原因には、先天的なものと後天的なものがあります。遺伝子改変マウスを用いた解析により、遺伝子異常が直接発癌を引き起こしているわけでなく、炎症を引き起こすことが明らかとなってきました。さらに研究を進めて、新たな治療法や、予防法の開発につなげていくことを目指します。大学院修了後は、研究者として留学や就職などの道が考えられます。医師の場合は、本講座で研究を終えた後、元の専門に戻る方が多いです。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像病理学(教授 中山 淳)Nアセチルグルコサミン転移酵素欠損マウスにおける分化型胃癌の病理組織像芳香族炭化水素受容体欠損マウス回盲部に認められる大腸癌疾患を身近にした病因・病態研究病理学。なじみのない分野かもしれませんが、患者さんの病変部から採取した組織の中で何が起きているかを観察し、病気の正しい診断をつけることに加え、不幸にして病気で亡くなった方を解剖させていただき、死に至るプロセスを明らかにしていきます。臨床医とのカンファレンス、アドバイスを通して高度な医療に貢献しています。こうした診断の基礎を支えているのが、まさに疾患を身近にした病因・病態研究を行う病理学です。医師として患者さんの診断に関与しつつ、他科の医師に比べ格段に時間の自由がきく環境で先端の医学研究が行えます。・膠原病・血管炎・腎炎:原因不明の難病研究   様々な病原微生物で活性化される自然免疫の側面から切り込んでいます。・EBウイルス関連疾患:リンパ球の悪性腫瘍や免疫病   ほぼ全てのヒトがもつウイルスが一部のヒトに病気を引き起こします。・ 免疫のメカニズムを介した難病の予防・治療の道筋を着けるのが目標です。・免疫を抑制する先進医療での合併症を予防します。・ 医科大学/医学部の病理学研究室で診断に従事しながら研究を続けられます。・ ヒト疾患研究に従事した経験は他のバイオメディカル研究に役立ちます。・ 病理部門をもつ大病院で病理医として勤務する道が大きく拡がっています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像病理組織学(教授 菅野祐幸)病理組織標本の病理診断トレーニング上級スタッフとのマンツーマンの指導が基本です倒立位相差蛍光顕微鏡による培養細胞の観察基本の形態学に加えて、様々な研究手法をとります

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