2019環境報告書
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32信州大学の「環境マインド」教育は、単に理念や理論の教育だけではなく、教職員と学生が協力してエコキャンパスを構築し、その継続的改善という実践行動を通じて、環境問題に対する解決能力の育成を目指しています。本科学群は、私たちが暮らす信州の自然・文化的環境への興味や関心を深め、現代社会が直面している環境問題を科学的に理解し、また問題解決に向けて積極的な行動に結びつくことを目的にしています。地球そのものや地球環境をめぐる問題を扱いますが、大気汚染や水質汚濁、野生生物保全、自然再生、資源枯渇、気候変動、原子力発電、廃棄物・サイクル、地震予知などの個別の問題についても学びます。いずれの授業科目も基本的な人間と環境のあり方について考えます。人間および環境の問題を、文化や芸術、倫理、ビジネス、心理、社会、国際協力などの多角的な視点からアプローチし、皆さんの視野を広げ、問題発見・解決能力を養います。環境問題を歴史という時間の流れの中で考え、地球環境と地域環境を相互に関連づけて捉えます。環境への負荷の少ない持続可能な発展を維持し、循環型経済社会システムを構築するため、顕在化している種々の環境問題を早急に解決していかなければなりません。地球環境への負荷を減らす視点やライフサイクルの視点から、環境と科学技術の新たな関わり方を考えます。・環境社会学入門・熱帯雨林と社会・Low Energy Building (省エネルギー住宅)・ライフサイクルアセスメント入門・環境と生活とのかかわり・環境問題のしくみ・環境科学入門・グリーンテクノロジー・環境配慮素材と自然エネルギー・エコ水車の開発と地域バイオマス利用・地球環境の歴史・循環型社会入門・環境とエネルギー・環境エネルギー政策論・ネイチャーライティングのすすめ (環境文学Ⅰ)・環境文学のすすめ (環境文学Ⅱ)・自然環境と文化・環境法入門・生物と環境・自然災害と環境・ナノテクと環境・人とすまい・材料の科学と技術(基礎編)・材料の科学と技術(先端編)・水の環境科学・森林サイエンス・農山村と環境・環境と緑の文化・農環境保全学・森林・環境共生学概論・環境と生命の基礎化学「環境社会学入門」【ねらい】ほとんどの環境問題は人間の社会的営みとかかわっています。今日にいたるまで、自然破壊や環境汚染によって被害や苦痛を受けてきた人びとは数知れません。また、多くの場合、環境問題の原因は社会的なものであり、問題解決のためには科学技術による対応のみならず社会全体の対応が求められているということがいえます。本講では、環境社会学の理論的思考や実践的研究方法を学んだ上で、環境問題に対する自分なりの考察や批判ができることを目標とします。【概要】主な論点として、第一に環境問題の加害・被害構造、制度・組織の特性、第二に環境行動・運動の契機とその結果、集団行動の困難・障害、第三に環境の歴史・価値・思想、生業とのかかわり、などについて、世界中で起こっているさまざまな環境問題を例に考えていきます。また、環境社会学は、人間が作り出した環境問題の解決を志向する「行動する社会学」でもあります。受講生には、この講義を通じて、自らの生活実践への示唆についても積極的に学びとってくれることを期待します。「ネイチャーライティングのすすめ(環境文学Ⅰ)」【ねらい】本講義は、本学の教育目標の一つ「環境マインドをもつ人材の育成」を目指すものである。「環境」という対象を文化の側面からとらえることにより、自然科学的な視点だけではなく、自分の「こころの問題」として自然や環境をとらえる豊かな感性としての「環境マインド」を受講学生が持つことが本講義のねらいである。【概要】自然や環境について語る際、自然科学的なデータや社会現象については情報があふれかえっているが、「こころの問題」として、つまり自分との関係で語ることはあまり多くない。この観点から本講義では、「ネイチャーライティング」という文学ジャンルに触れることを通して自然や環境にアプローチしていく。「環境と生活とのかかわり」【ねらい】環境という分野に関わる内容は多岐に渡りますが、その中で自然環境保全は、生物多様性保全などの切り口で、私たちの生活とも多くの関わりを有しています。様々な形で私たちが受けている自然の恵みを生態系サービスの視点で理解したり、持続可能な社会のために市民として取るべき行動の基礎となる知識を習得し、日本全体や国際的課題などの大きな視点と、長野県内などの身近な視点で、具体的な事例を基に自らの考えを説明できるようになることを目標とします。【概要】本授業では、環境のうち生物多様性保全などの主に自然環境保全分野について、生活の中で身近に存在する課題やニュースに取り上げられたりする内容を中心に、背景や取り組み意義などを学びます。自然環境行政の実務経験を有する担当教員が、その経験を生かして具体的な事例等を踏まえた授業を行います。特に長野県に関連する具体例として、日本を代表する山岳地を含む国立公園の制度の仕組み、シカやクマなどの鳥獣対策、ライチョウなどの希少種保全の取り組みなど、様々な内容を扱います。環境科学群授業科目授業のねらい・概要信州大学の全ての学生は、共通教育科目の教養科目「環境科学群」から、必ず1科目(2単位)以上を履修します。環境科学群は、次の内容から構成されています。02環境への取り組み環境マインドの醸成2-1 環境教育

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