総合人間科学系研究紹介_2019-2020
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4総合人間科学系総合人間科学系全学教育機構全学教育機構研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像人文・社会科学教育部門早稲田大学人間科学部卒業。同大学院社会科学研究科修士課程修了後、同大学院博士後期課程修了(博士・社会科学)。早稲田大学社会科学総合学術院助手等を経て、2019年より現職。小池 洋平 助教異なる価値観を持つ人びとと共生する現代社会では、絶対的に正しい正解は一つとは限りません。しかし、このような社会だからこそ、個人を尊重するために公権力が踏み越えてはならないラインもあるはずです。人権について疑問を持ち、悩みぬくことでそれを発見して欲しいと思います。憲法が保障する人権を研究することは、自分が自律した個人として自由に生きるための社会の条件を探究することでもあります。なぜ憲法が人権を保障しているのか。憲法が保障する人権の中身は何なのか。このような「問い」を出発点として人間と社会の関係性を徹底的に考えることで、公正かつ自由な民主社会の実現に貢献することができます。憲法の基本原理や歴史などを学ぶ〈日本国憲法〉や、意見や考え方が異なる人びとと共生するためのルールのあり方を人権の観点から考える〈共生のための人権研究ゼミ〉などを担当しています。専門は憲法学・比較憲法学(アメリカ憲法)。主に日本国憲法18条が保障している〈奴隷的拘束からの自由〉をどのように解釈すべきか、奴隷制を憲法で廃止した19世紀中頃のアメリカ立憲主義を素材としながら研究しています。また、高校生の政治活動の自由や、社会における不平等を裁判所が解決する方法についても研究しています。自律した〈私〉が自由に生きるための社会を探る森の小道を走る少年少女。現地社会の一員になるための儀式を受けているところ。アフリカ大陸の飾りを付けたネックレス。この少女の暮らしと私の暮らしはどのようにつながっているのか。人文・社会科学教育部門立命館大学 産業社会学部卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 アフリカ地域研究専攻修了(博士・地域研究)。2009年に全学教育機構に着任。分藤 大翼 准教授自分に対して暗い人に明るい未来はありません。他人に照らして自分を明らかにする。異なる文化に学び、自分の(囚われている)文化について考えること。きちんと学べば、今、自分がどうするべきか考え行動できる人になるでしょう。自分の生き方が正しいと思っている人、あるいは間違っていると思う人は、文化人類学を学ぶべきです。世界中の様々な生き方を具体的に学びながら、自分や身近な人々の生活について考えなければ、望ましい未来は実現しません。激変する世界を生き抜くためには、人類の性質を見きわめながら、人と自然、人と人、人とモノとの関係を調整してゆく必要があります。人類学的な研究は、その基礎となるものです。フィールドワーク(現地調査)を通じて異文化について学ぶ文化人類学に関する科目や、人と自然との関わり、アフリカの文化について学ぶ科目を担当しています。専門は文化人類学、映像人類学。中部アフリカ、カメルーン共和国の熱帯雨林に暮らす狩猟採集民の生活文化を中心に、フィールドワークにもとづいて、自然と共に生きる人々の暮らしを研究しています。また、その営みを映像によって記録し、映像を活用した研究も行っています。人類の過去・現在・未来:共生の可能性を探る映像人類学Washington D.C.にあるNEWSEUMの壁に刻まれたFrederick Douglas(奴隷制廃止論者)の言葉。〔写真はすべて小池撮影〕アメリカの奴隷制廃止に貢献したAbraham Lincoln大統領。アメリカ連邦議会図書館のメイン閲覧室。外国人でも無料で利用できます。

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