総合人間科学系研究紹介_2019-2020
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6総合人間科学系総合人間科学系全学教育機構全学教育機構研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像上と下はR言語を用いたある対象のシュミレーションの一例である。このような図から規則性を予想することがある。共に一見したところ規則性がないように見えるが実は共通点がある。-0.4-0.20.00.20.40.81.01.21.4Re(e)Im(e)-2-101231234Re(e)Im(e)数学部門東京大学大学院数理科学研究科修了。博士(数理科学)。2018年より現職。岡村 和樹 助教数理的、確率統計的なものの見方、考え方を身につけて、それを将来の仕事や生活に生かしていって欲しいと思います。あくまで一例ですが、乱雑なグラフ上の酔歩がある時間までに訪問した点の個数の増大度の研究は、果樹園や森林での害虫による病原菌の伝染の速度、もしくは工場の排水などの汚染物質の土壌内での拡散の速度の数理モデルとの類似点があります。デタラメに見える対象に潜む規則性を見出す授業においては数学と統計科目を担当しています。研究においては、ランダムな対象を研究しています。数学では確率論という分野になります。ランダムというのはサイコロを振ったときに出る目のようにデタラメということで、少なくとも外見上は規則がないということですが、そのように見える所にも隠れた規則性(法則)があることが多く(「大数の法則」「中心極限定理」はその代表的な例です)、そのような規則性(法則)の発見を行い、それに数学的に厳密な説明をつけることに力を注いでいます。これまでは主に乱雑なグラフ上の酔歩がある時間までに訪問した点の個数の増大度などについて研究してきました。自然科学教育部門授業のようす2授業のようす1東京大学卒業後、同大大学院にて学位取得。高エネルギー加速器研究機構を経て現職。共通教育では力学、電磁気学をはじめとする物理学関連の授業のほか、一般教養の授業も担当。安達 弘通 准教授物理やそれを処理して行く数学の力は理科系の方であれば専門を理解して行くうえで土台となるものです。どこかで役に立つかもしれないと信じて、いっしょにがんばって行きましょう。たとえば上に述べた成果は、磁石のNSを操作することでエックス線ビームの中に時間的、空間的な強度構造を作り込む未来技術の可能性を示唆しています。エックス線を使った超微細加工や放射線治療への応用が期待できます。またエックス線と磁石との相互作用はエックス線の偏光とよばれる情報を調べるうえでも役立つのです。エックス線を出しているブラックホールなどの観測研究にも貢献できるかもしれません。エックス線はものにあたると突き抜けたり、吸収されたり、はね返されたりします。磁石にあたったときには磁石のN極とS極がどちらを向いているかで突き抜ける量や跳ね返される量が変わります。古くから知られている現象ですが、磁石の向きに依存して変化する割合はごくごくわずかであることがふつうです。私たちの研究室では、その割合を大きくする新しい原理を見出し、磁石の向きによってエックス線のはね返る量が倍ほども変わる現象を実現しました。このようなエックス線と磁石が織り成すさまざまな現象の研究やそれを利用した物質の解明、新しい技術の開発などを行っています。磁性体一般、および放射光と磁性体の相互作用に関する教育・研究

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