保健学科_研究紹介2019
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―6―患者さんの抑うつを予防し、心の健康を維持・改善するための研究 私は以前、循環器病棟で看護師をしていました。その時に、心臓病が改善しても、退院後、一生食事や運動の制限などを守らなければならない患者さんにたくさん接してきました。病気になったという大きな不安に加え、ライフスタイルの変更を余儀なくされ、抑うつになってしまう患者さんが大勢います。そのような患者さんが、どのようにすれば抑うつにならずに心の健康を維持しながら生活が送れるのか、という問題に取り組んでいます。 また、看護師不足は患者さんへのケアの質を低下させる重要な問題です。そのため、新人看護師が同僚からどのような支援を受けると、離職率が減るか、といった研究もしています。看護師免許を取得後、虎の門病院で看護師として8年間勤務。山梨大学看護学修士課程終了。2014年信州大学保健学専攻博士課程に入学し、信州大学看護学専攻の助教に着任。 心臓病患者さんの抑うつに対する看護介入に、十分なエビデンスが得られていない現状があります。特に、激しい胸痛を経験した心筋梗塞の患者さんの精神的健康の改善や死亡率減少のためにも、抑うつを呈した心筋梗塞患者さんの研究を行うことが急務です。疾患と共に生きていく方を少しでも元気に、笑顔で過ごしていただけるようにしていきたいです。 看護学は、精神面や身体面など、人を様々な角度から学ぶことができる学問です。さらに、病気を持つ患者さんはどのような状態であるのかを学び、自分にはなにができるのかといった、考える力を養うことができる学問です。基礎看護学研究から広がる未来卒業後の未来像演習で使用する物品の一部学会発表演習(基礎看護学領域)山口 大輔 助教看護学専攻基礎看護学領域看護の基本を学習する患者さんの生活の質向上を目指して みなさんも、病院で採血を受けたり、血圧を測ってもらった経験があるのではないでしょうか。 基礎看護学では、看護師が行う医療行為や日常生活援助の基本を学びます。患者さんは入院することにより、家とは違う環境で生活することになります。患者さんが、病気を持ちながらも、自分らしく生活していけるような看護を考えましょう。 興味がある研究分野は、糖尿病患者さんのフットケアです。大学院では、糖尿病合併症である足病変の予防的フットケアについて研究しました。その他にも、訪問看護の現場で男性看護師が働きやすくなるための研究も行っています。 糖尿病と診断されても、食事や運動といった生活習慣を見直しながら治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。 患者さんが足の自己管理を行うことによって、糖尿病足病変を予防することもできます。 患者さんが糖尿病と上手く付き合いながら、生活の中で自分らしくいられるような手助けができる研究を行っていきたいです。 私は、看護の基本は「人を思いやる気持ち」だと考えます。大学生活の中で、多くの人と出会い、様々な経験をしてください。多くの経験から、人を思いやる気持ちが育ち、患者さんの気持ちに寄り添える看護師になれることを期待しております。基礎看護学研究から広がる未来卒業後の未来像採血演習前の実習室の様子腕モデルを使って採血の練習をする足をお湯につけている血圧を測定している日本赤十字北海道看護大学卒業。信州大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了。松本短期大学看護学科非常勤助手を経て、2015年医学部保健学科に着任。上原 文恵 助教看護学専攻基礎看護学領域

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