保健学科_研究紹介2019
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―35―循環器疾患を抱えながらも畑仕事や家事を遂行する80代後半女性。服薬は自己管理し、日々活動的で健康的な生活を送っている。信州大学医学部附属病院のスタッフと協力し、多職種で構成されるチームで循環器の患者さんに対する臨床や研究を行っている。 左図:若年患者への生活動作指導を作業療法士が行っている様子。  右図:心臓手術後患者の床上動作練習の一場面。作業療法学専攻循環器患者の健康的な生活の実現―循環器領域における作業療法研究― 心疾患は日本人の死因別死亡率の第2位を占めています。中でも心不全は心疾患の終末像とも呼ばれ、患者数は今後も増加の一途をたどり、2035年までに130万人に達すると言われています。近年、社会の高齢化に伴い虚弱な高齢心疾患患者が増加傾向にあり、循環器の問題だけでなく精神機能や認知機能の低下を有する方も少なくありません。認知機能障害を併存する患者は、薬の自己管理など、自身での体調管理が困難になる場合が多く、それが病状を悪化させる原因の一つとなります。佐藤研究室では、多様化する心疾患患者の病態と生活機能の関係を明らかにし、心疾患患者の長期にわたる健康的な生活の実現に向けた新たな作業療法介入の開発を目指していきたいと考えています。信州大学医学部保健学科を卒業。卒業後、上伊那生協病院、信州大学医学部附属病院での勤務を経て、2016年4月より本学に着任。信州大学大学院総合医理工学研究科博士課程在学中。佐藤 正彬 助教実践作業療法学 リハビリテーションの対象となる循環器疾患の患者は増加傾向にあり、作業療法士も心臓リハビリテーションチームの一員として役割を果たしていくことが求められています。循環器疾患に併存する認知機能や精神機能の障害と生活機能の関係性を明らかにすることで、臨床の現場において循環器疾患の身体機能障害だけでなく、精神や認知機能の障害を捉えた上での包括的な生活支援を展開することができます。 作業療法士は医療機関から地域・行政など幅広い分野で活躍しています。どの分野においても、日頃から疑問を持ち、それを解決していくプロセスが重要です。患者さんの生活を幸せなものにするために、自身の努力を惜しまない職業人を目指していきましょう。研究から広がる未来卒業後の未来像

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