保健学科_研究紹介2019
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―18―看護学専攻広域看護学領域在宅看護学:病院中心の看護から、地域での生活と医療をつなぐ、支える看護へ 病気や障害を抱えた方々が住み慣れた地域で生活していけるように、その人や家族の暮らしを見据えて、一緒に考え、行動できる看護師が求められています。治療することだけが目的ではなく、その人が望む生活やより安心な生活を送るために健康が必要であることを理解した支援が必要になります。また様々な方との連携や協調は欠かせません。 私は教育の他に、地域で働く訪問看護師等の支援者と現場の課題解決に向けて取り組んでいます。特に長期に渡る療養生活を余儀なくされる医療依存の高い難病療養者やご家族の支援、療養の場の移行や在宅支援に伴う連携に関すること、災害弱者と呼ばれる災害要援護者のための支援体制作りに関すること等を主な研究テーマとしています。 国により地域包括ケアが推進されており、看護職の活動の場が拡がっています。看護職間や多職種・多機関と連携することは益々重要になります。現在、モバイル端末等のICT活用による連携に関する研究に取り組んでいます。 在宅等で継続した医療処置が必要な方々が増えています。その方々の思いを傾聴し、安心・安全な生活を支援するための体制つくりを現場の看護職や他分野の方々と追及していきます。 病院に入院している患者様は、地域で暮らしていた方です。その方の理解や支援には、身の回りの出来事や社会に関心を持ち、様々な場に積極的に出向いて経験する、様々な人と話す、聴く、一緒に考える等が、看護を学び、追い求める上での力となります。在宅看護学研究から広がる未来卒業後の未来像実習前の模擬訪問看護演習:ロールプレイ学内演習の様子在宅看護実習の学内まとめ千葉大学看護学部卒業。聖路加国際病院勤務、信州大学医療技術短期大学部助手、子育てを経て、松本短期大学後に、本学保健学科看護学専攻に着任。群馬大学医学研究科修士課程修了。高橋 宏子 准教授看護学専攻広域看護学領域安全安心な精神科医療のために 入院環境での精神障害をもつ当事者の攻撃性へのケアを中心に研究しています。また、アセスメントツールに関すること、マネジメントに関することについて研究しています。2005年からはCVPPP(Comprehensive Violence Preven-tion and Protection Programme)というプログラムの開発に携わり攻撃性へのケアの理論開発とそれに伴う研究をしてきました。攻撃性へのケアとは保安のことではありません。当事者の攻撃性に対して思いに耳を傾け対話する中で当事者の味方となり、安心して過ごすことができるように援助する方法は精神看護の基本となるスキルです。 プログラムは看護者だけがよくなるためのものというわけではなく、当事者と看護者が相互理解を深めていくことを助け、当事者にとっての利益につながります。病院や施設の中で当事者も看護者も安心できる環境になるように研究を進めています。 多いというわけではありませんが、卒業後すぐに精神科に就職を希望する学生さんもいます。心の時代といわれる現代です。ぜひ多くの学生さんに精神科看護師として活躍してほしいと思います。精神看護学研究から広がる未来卒業後の未来像怒りが強くなって爆発するところから落ち着くまでのサイクルとその間の介入を示したモデル。大きな噴火は大爆発を示している。その後もしばらく煙が出てくすぶっているのは興奮がなかなか冷めないところを表現している。上の図を説明しているところ関わりを振り返る演習をしている山梨大学大学院医学系研究科博士課程生態系修了臨床経験は東京都立松沢病院に17年間勤務下里 誠二 教授

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