保健学科_研究紹介2019
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―16―公衆衛生看護・国際看護で利用している教科書類ネパール: プログラム参加の 保育園のこどもたちネパール: 学生による 歯磨き健康学習会看護学専攻広域看護学領域公衆衛生看護は、地域社会の中で行う健康と結びついた看護である 公衆衛生看護は、地域社会をフィールドにしています。健康的で幸せな生活を住民の皆さんに送ってもらうために、保健師という職種で働いている看護職を育てます。様々な病気は、社会的要因(経済・教育・人間関係など)が関連しています。病気に目を向けるだけでなく社会のありようにも目を向け解決策を探る学問領域です。国際保健の目指すところも、同じです。専門家にやってもらうのではなく、自分達で行う力(エンパワメント)を持つ住民をどう育てるかが重要です。ネパールでのフィールドワークで子どもの健康問題をどう解決するかや、国内の保健師の教育などに研究の視点をおいています。東京都中央区の保健師、JICA母子保健専門家としてインドネシア経験後、看護教育に従事。東洋大学大学院社会学研究科後期博士課程修了。奥野 ひろみ 教授 住民とともに健康問題を考え、住民とともに活動を進めることのできる人材の育成を進めています。卒業生が、日本にとどまらず国際社会においても、活躍してもらえることを目指しています。http://shinshu-u-phn.net/ 保健師として県・市町村への勤務で、地域や町を健康にするためにはどうしたらよいのか、町の施策やシステムをつくることにも関与します。このノウハウは国際協力にも役立ちます。公衆衛生看護学研究から広がる未来卒業後の未来像看護学専攻広域看護学領域その人らしい健康的な生活を実現するための要因を考える 健康になることが人生のゴールではありません。その人らしい生活を通して、QOL向上を実現することにあり、健康はそのための手段の一つです。そのQOLには、ストレスや生活習慣、主観的な健康観など様々な要因が関係しています。近年は格差社会と言われ、賃金格差だけでなく、健康格差も大きな問題となっています。そのような厳しい生活環境の中、人々のQOLが、ストレス、生活習慣などとどのように関連しているかについて研究しています。また、健康を支援する保健師の実践能力向上に向けた教育プログラムの研究・開発にも取り組んでいます。 WHOは「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。世の中には大きな病気を持ちながらも生き生きと過ごし、QOLの高い方も多くいます。QOLの研究は、健康とは何かを考え、その人らしい人生を過ごすための基礎となるものです。 保健師は対人援助職として、多くの困難に直面しますが、はじめから一人で解決することは難しいので、抱え込まず、誰かに相談する。そして、専門職として、常に疑問を持ち、根拠を探求する姿勢を持ちましょう。公衆衛生看護学研究から広がる未来卒業後の未来像卒業研究の学内発表会の様子。それぞれが取り組んだ研究の成果を緊張しながらも自信と達成感をもって発表している。保健師コースの学生が実施した健康学習会(減塩について)。新任期の保健師を対象にした研修会。山梨医科大学医学部看護学科卒業。同大学院医学系研究科修士課程修了。山梨大学大学院博士課程修了(看護学博士)。2007年に信州大学医学部保健学科に着任。五十嵐 久人 准教授

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