保健学科_研究紹介2019
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―12―看護学専攻小児・母性看護学領域病気の子どもの経験する体験と、彼らが培うしなやかな強さややさしさを伝えたい!! 子どもが病気になってから経験することを通して、つまずいたり、衝撃を受けたりしながら、育っていく中で、どのようなことを学んでいくのかに関心を持って研究を続けています。お子さんに自分のことを話してもらうためにはまず顔なじみになり、だんだん自分のことを話してくれるようになるように機会をつくり、お話をお聞きしています。聞いたお話から、お子さんたちの経験からの学びがどのように形作られているのかを鮮明に説明することを目標に、研究をしています。 お子さんからお聞きするお話がどれも大事なお話なので、なかなか「もうこれでよし!」とお話を聞くことを終いにできず、とても楽しいけれど、形にするにはまだ時間がかかりそうです。共立女子大学文芸学部卒業後、信州大学医療技術短期大学部看護学科卒業、日本赤十字看護大学看護学研究科修士課程修了、金沢大学医学系研究科博士後期課程満期退学。鈴木 泰子 助教 自分のやっていることにこんなことをやっていていいんだろうかと悩む人や将来に不安をもつ人がたくさんいます。そんなとき、子どもの頃に病気になり、日常の生活が激変し、経験を知ることは、大きな助けになったり、勇気や希望を与えてくれることが多いです。そんな病気の子どもたちの経験を読み解き、人としての生き方への工夫やコツを発見できたら、それを社会に伝えていきたいと考えています。 学生生活の中で起こることから多くを学んでいくことができます。自分の思考を深め、思考や行動のくせも知りましょう。机上の学びだけでなく、日々の生活や人間関係を通して、多くの人と対話をし、生活する力を身につけることが将来の強みにきっとなります。小児看護学研究から広がる未来卒業後の未来像学会参加して街歩きをしたときに見つけた教会の壁。風雨に負けずに凛と立つ品のある姿に、病気の子どもの持つ強さややさしさと同じものを感じて、心が震えた。眺めるといつも励まされる。ゼミのときも、病気の子どものことばを学生さんに伝えている。「だれかのせいにしたりせず、あるがままを受け入れて未来に向けて生きる勇気を、病気は自分にくれたと思う」「自分のことは自分だけでは決められない、家族の気持ちも大事なものだから…」看護学専攻小児・母性看護学領域母と子の健康に役立つ情報発信~安心して妊娠・出産・育児できるために~ 生命誕生の瞬間に立ち会うことの素晴らしさに惹かれて産科医となり、妊娠・出産・育児に関する課題解決を目的に教育・研究を行っています。○科学技術の進歩により様々な出生前診断が可能となりましたが、後悔の残る選択や不安の増大に繋がる懸念も指摘されており、[検査の限界、倫理的問題点、ダウン症の方々の生活の現状など]も含めた適切で十分な情報提供を行える医療体制の構築に取り組んでいます。○子宮内の胎児が元気かどうかを評価することは極めて重要です。従来よりも簡便かつ安全に検査できる機器の開発に取り組んでいます。○母児に重大な影響を及ぼす妊娠高血圧症候群は、ヒトにしか発症せず、 発症原因も不明であるため、本疾患の病態解明に取り組んでいます。 現代医療の診断法や治療方針は、過去の研究成果の蓄積によって確立されています。しかし、現在の診断法や治療方針が最善なのかは、常に検証することが必要です。また、未だに原因不明の疾患や有効な治療法がない病態も存在します。従って新たな研究成果が、より有用な診断法や治療法の開発に繋がり、人類の幸福に貢献できる可能性があるのです。同時に、研究成果の倫理的な評価も重要な時代になっています。 医療職は、人の役に立っているという実感を得やすく、やりがいや生き甲斐を見出しやすい恵まれた職業です。その分、責任も大きく、生涯の学習が必要ですが、明確な目的をもつ学びは楽しく、成果も明瞭です。日々の努力の継続が明るい未来に繋がります。母性看護学・助産学研究から広がる未来卒業後の未来像信州大学医学部医学科卒業。同大学医学部附属病院産科病棟医長、統括医長、講師を経て、2008年に医学部保健学科小児・母性看護学領域教授に着任。医学博士。附属病院遺伝子医療研究センター兼務。金井 誠 教授図2.胎児心拍数モニター図3. 胎盤における   酸化ストレス因子の発現図1.ダウン症ご本人(12歳以上)への全国調査

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