保健学科_研究紹介2019
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―8―「やめたいのにやめられない」生きにくさを探り、生きやすさへと応用する 何かはまっていることはありますか? それによって、人との約束を守れなくなったり、やらなくてはいけないことができなくなったりしていませんか? アディクション(嗜癖、いわゆる依存症)とは、自分にとって不利益・不都合と認識しているけれども、その物質や過程・行動、あるいは関係に強迫的にとらわれて自らをコントロールできない、認識と行動が解離した状態です。つまり「やめたいのにやめられない」状態のことで、よく知られているものにアルコールや薬物、ギャンブルがあります。私は、予防的な視点から、これらの嗜癖行動を開始してからどのように問題が深刻になっていくのか、また、それには何が影響するのかを研究しています。札幌医科大学卒業。群馬大学大学院(保健学修士)、筑波大学大学院(ヒューマン・ケア科学博士)修了。看護師として勤務後、目白大学、首都大学東京を経て、2019年に着任。 アディクションは身近なところに1人はいても不思議ではない、ありふれた病気です。この問題を持つ方は多くの場合、地域で生活を送っていますが、医療現場では内科や外科や救急等でお会いすることも珍しくありません。実は、引退後のアスリートにもこのリスクがあるといわれています。何がリスクになり、問題となっていくのかがわかれば、アディクションや関連する問題の予防につなげることができるのです。 卒業後は医療機関や地域、企業等、活躍の場は多様です。たくさん考えながら働いているうちに、多くの疑問を持つかもしれません。そんな時には大学院に進学し、探究していきましょう。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像ギャンブル障害を持つ本人と家族の認識のプロセス問題のある飲酒をしている方の推計ギャンブルに問題を持つ方の推計地域の方々に向けた活動の様子新井 清美 准教授看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域慢性的な病をもつ人が、その人らしい生活をおくるための看護ケア 健康障害のある成人期の人(所謂おとな)を対象とした成人看護学を担当しています。救急医療および集中治療室における臨床経験があり、これまで集中治療室における看護特性の研究をしてきました。 現在は、がん・糖尿病・COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする、慢性的な病をもつ人の看護に関心があります。現代では生活習慣病をまったく持たない健康な成人は少ないでしょう。一病息災、患者さんご自身が病と上手く付き合い、その人らしく生活を楽しむために必要な支援を研究しています。特に、病院やクリニックの「外来診療」の場で提供される看護をテーマとしています。長崎県立大学シーボルト校人間健康科学研究科修了(看護学修士)。2014年信州大学医学部保健学科看護学専攻に着任。北條 由美乃 助教 看護学は若い学問領域のひとつです。社会学や教育学、心理学、哲学など様々な学問分野の成果が看護研究・看護実践に活かされています。  看護学を入口として周辺学問にも視野を広げ、その理論を看護研究に応用することでさらに看護実践の質が高められます。先達に学び、一歩ずつ前進していきます。 看護は対人関係の成立なくては、なし得ません。普段の生活では接することが少ない年代の方とも「看護」を通して繋がることができます。看護学を学ぶことで仲間の輪は全国に広がります。そして世界にも…成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像日帰りで薬物による治療を受ける患者さんに寄り添う。慢性的な病を持つ人が病院とつながっている「外来」における支援は重要。外来看護実習では病棟実習とリンクする多くの学びがある。

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