信州大学工学部2020
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04佐藤: 私はメーカーでエンジニアをやっていた時代もあります。だからこそ言いたいのですが、メーカーはこれからサービス業になっていく必要があると思います。ノムーン: メーカーがサービス業??とっても意外です。佐藤: メーカーで製品をつくるのに大きな貢献をしてきたのが工学。日本の工学は従来、大量生産・大量消費の時代に確かな役割を果たしてきましたが、時代は変わった。これからは、それを違う形にしていかないと。その先駆を走っているのが信州大学工学部だと思います。香山: 使う人になにをもたらせるか。それをしっかり考えていくのが重要。そんな研究がここにはたくさんあります。ノムーン: 結局、使い手は私たち。素材や技術に詳しいだけじゃだめで、人間や社会を知らなくちゃ。モノをつくってきたメーカーは、サービス業へ大転換する??大竹: たしかにもうモノを大量につくる、売るという時代は終わりなのかも?そのときそのときで必要なものを活用する方向にシフトする感じがします。入野: 最近ではユーザーエクスペリエンス(UX)って言葉もよく聞くように、大切にしたいのはどんな体験を生み出せるかですね。ノムーン: そうそう!いままで想像もできなかった体験やこれまでにない楽しみ方が提示できるともっといいなと思います。工学ってそれができそう!香山: みんなはどうやったら、これからのサービスづくりができると思う??藤原: 僕は徹底的にユーザー目線に立つことだと思います。世の中にはつくり手より、使い手のほうが圧倒的に多いから。佐藤: いままでは、ずっと工学の世界にいて、技術に精通しているプロフェッショナルがモノづくりを担うことが多かったよね。髙田: 新しいアイデアは既存のアイデアの掛け合わせからしかでてこない。技術のプロが今までの中心だとしたら、そうではないピースを掛け合わせればよくないですか??大竹: いままでなかったピースって、例えば、女性視点?工学部にはまだまだ女性が少ないけど、使い手の視点に立ったものを生み出したいからここに来たっていう友人が多いです。私もそのひとり。女性、若者、外国人、アマチュア??新しい視点で、次なる波を起こせ!入野: そもそも女性のユーザーを考えるのには女性がいたほうがいい!一昔前はモノづくりするにも技術者が全員男性って当たり前だったみたいだし。他にも、若さっていうのはどう?藤原: 僕たちはミレニアル世代って言われるよね。それこそ物心ついたときからインターネットやスマホに触れてきた。だからこその発想はあると思いますよ。入野: デジタルネイティブ世代だよね、僕ら。ノムーン: 海外出身だからこそわかる視点もあります。みんなにとって普通だけど、私にとって斬新なこともたくさん。モンゴルと日本では感覚がやっぱり違うから活かせていけると思う。佐藤: 僕はずっと自分の専門にこだわってモノづくりに関わってきましたが、だからこそ、最近は専門分野や業界の常識にとらわれないアイデアに、はっとすることがあります。先入観にとらわれない発想が生み出す驚きとも言えるかもしれません。香山: 工学のみで生み出せる価値はある程度、実現できているのかもしれませんね。だから、独自の視点を取り入れて、工学の外に出ていこうってみんなには伝えたい。そうすれば次なる時代のサービスづくりができるし、工学から世の中に次なる波を起こせる!

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