工学部_研究紹介_2020_日本語版
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助教松田昌洋研究から広がる未来卒業後の未来像日本には多くの木造建築があります。一口に木造建築といっても、民家や社寺のような昔ながらの建物から、現在たてられている一般的な木造住宅、学校などの規模の大きな建物まで実に様々です。この中でも特に日本の文化を受け継ぐ方法で建てられた伝統木造建築の耐震性能に関する研究に取り組んでいます。伝統木造建築は地震に弱い?でも残っている建物もたくさんあります。伝統木造建築は地震に強い?でも倒れてしまった建物もたくさんあります。本当のところはどうなのでしょう?研究には、こうした疑問を工学的な手法を用いて解き明かしていく面白さがあります。民家、社寺など日本の文化を受け継ぐ木造建築は今もなお生き続けています。美しい伝統建築を保存・活用し、そして今後も建てていくにはどうしたらよいかというテーマは、今の時代だからこそ夢があり、未来につながるものです。木造建築、構造の基本的な考え方を理解しながら研究を進めていくことで、木造建築を中心とした構造設計、伝統木造建築の耐震診断・耐震補強設計といった分野での活躍が期待されます。東京大学国際都市再生研究センター特任研究員、東洋大学木と建築で創造する共生社会研究センター研究助手を経て2011年より現職。木構造、主に民家などの伝統木造建築物の耐震性能に関する研究に従事。伝統⽊造建築が地震に耐える仕組みを⼯学的な視点で考える【私の学問へのきっかけ】小さな頃から木工が好きだったこともあり、大学で木造建築の伝統的な木組みについて学んで以来、昔の技術に関心を持つようになりました。その後、木造建築を専門とする研究室を希望し、伝統的な技術でつくられた構造物の実験や調査に携わる中で、研究がだんだんと面白くなっていきました。建築学科茅葺屋根の民家に地震計を設置し、地震時に建物がどのように揺れるかを計測白川郷の合掌造り民家独特のつくり方である板壁と柱・梁からなるフレームの耐震実験67

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