工学部_研究紹介_2020_日本語版
68/92

助教佐倉弘祐研究から広がる未来卒業後の未来像日本を含む世界中の先進国で、民主主義や資本主義をベースとした近代的な都市構造の仕組みが揺らぎ始めています。結果、再び「人間」を中心とした都市への復興が、様々な都市で再考され始めています。近代化の渦中で蔑ろにされてきたヒト・モノ・コトを貴重な地域資源とみなして、これからの時代に適した都市を構想していくことが重要です。理論研究の基盤を欧州(特にスペイン地方都市)に置き、実践プロジェクトの基盤を長野市に置くことで、「グローカル(=グローバル+ローカル)」な研究・実践を心がけています。理論研究に留まらず、実際に課題を抱える地域で、課題解決に繋がるような建築物や工作物を地域住民と一緒に創っていくことを重視しています。その活動に地域住民が刺激され、各々が主体的にまちづくりに関わるようになり、地域が活性化されていく。そんなことが至る所で起る未来を想像しながら、実践しています。地方創生が謳われる昨今、従来通り大企業に就職することが理想とは限りません。重要なことは、どのような状況下に陥っても豊かな生活を維持できるスキルを身につけることです。グローカルな研究・実践を通じ、そのようなスキルの習得を期待しています。2015年に千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻修了、博士(工学)取得。龍谷大学地域公共人材・政策開発リサーチセンター博士研究員を経て、2016年6月から現職。一級建築士。研究と実践の両輪で地域資源を活かした都市空間デザインを構想する【私の学問へのきっかけ】幼い頃から知らない都市へ旅行することが大好きでした。大学生になり自分の行ったことのある都市や建物が講義で取り上げられ、それらのデザインや設計意図を深く知るにつれて、のめり込んでいきました。建築学科長野市内で展開する空き地の有効活用を目的とした実践型プロジェクト「まち畑プロジェクト」の作業風景まち畑プロジェクト第3弾「ヤギのいる庭」の設計提案が全国設計競技「SDレビュー2018年」で入賞!助教中谷岳史研究から広がる未来卒業後の未来像自然環境を活用した省エネルギー設計に取り組んでいます。•建物居住者の熱的快適性と暑熱・寒冷について分析し、快適・限界と感じる温熱環境を検討しています。居住者の熱ストレスに対する適応能力の定量化が目標です。•建物の熱・湿気やエネルギー消費を実験・計算します。長年かけて残されてきた建築から、現代の設計に利用することが目標です。•パッシブデザインの教育に取り組み、定量的評価に基づいた設計判断ができるように指導しています。建築環境工学は、エネルギーを少なく、快適に暮らすための学問です。建築と設備の技術は進化しています。適切に組み合わせることで、暮らしはよくなります。また古い建物から学ぶことで、自然を利用した設計が広まっていくでしょう。卒業生は大手ゼネコン、大手設備会社(設計、施工、研究所)や公務員に就職にすることが多いです。学生時代に学び方を身に着けて、世の中で着実に頑張っています。名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程を修了。大和ハウス工業総合技術研究所、岐阜高専建築学科を経て、2017年から現職。専門は建築環境工学、博士(農学)。⼈と⾃然に配慮した省エネルギー設計【私の学問へのきっかけ】中学・高校時代は理科が好きで、特に物理に興味がありました。私の専門分野「建築環境工学」はかつて「建築物理学」とも呼ばれ、物理を利用して建築や暮らしをデザインする学問です。また「計画原論」とも呼ばれ、設計の基礎理論として発展してきました。建築を注意深く観察すると、沢山の物理現象を発見できるようになり、学ぶことがとても楽しいと感じるようになりました。授業内容の一例です。日影曲線図を利用し、建築パースに日影を立体的に書き込む手順を教えています。輝度分布の測定例です。開口部の工夫により、天井を経由して机上面に導光されています。建築学科66

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る