工学部_研究紹介_2020_日本語版
67/92

建築学科建築空間内の居住者がより安全で快適な、ゆとりのある生活を可能とするためには、まず建物内外で起こるあらゆる状況を予測・評価し、その上で自然的に解決できない部分に関しては機械面で対応し建物を設計する必要があると考えています。李研究室では、建物内外で起こるあらゆる状況をコンピューターシミュレーションにより予測・評価しており、通風・換気効率評価、室内汚染物質濃度場予測、熱環境予測/評価、人体温熱快適、省エネ建築(断熱・改修,ZEB)、空調システムなどに関する様々な研究を行っています。建築空間内外の居住者がより安全で快適な生活ができるような技術はエネルギーを多く使って地球環境を破壊する恐れがあります。居住者の快適性を損なわず、省エネルギーを達成させる技術開発及び最適設計などを通し、地球温暖化を防止するサステナブル建築を目指しています。建築環境工学理論と物理原理などの理論的な知識・思考力を習得し、問題を見つけて解決する能力、独創力がある論理的な思考を持った人材を育成しています。卒業後は建築環境・空気調和分野のみではなく、論理力を要するどんな分野においても社会貢献ができると期待されます。東京大学工学系研究科建築学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所特任研究員、東京理科大学工学部建築学科助教を経て、2016年より現職。研究分野は建物通風・換気、空調効率、数値シミュレーションなど。喫煙室、トイレ等の汚染質発生を伴う空間では、ドア開閉や人体移動による汚染質の漏洩につながり、その漏洩を効果的に抑制する換気対策が必要→数値解析により、空気流動の定量的な解明が可能建築空間内の居住者がより安全で快適な⽣活を可能とする技術を提案する!単位:[mm]室内廊下xyzドア人体(a) 1秒後(b) 3秒後(c) 5秒後助教李時桓研究から広がる未来卒業後の未来像【私の学問へのきっかけ】幼い頃に引っ越しが多く、アパート、マンションなど色んな空間で住んで見たのが建築に興味を持ったきっかけです。人は生活水準が良くなると、住みやすい空間、快適な住環境を目指して住居環境を変えようと思うので、快適な空間はどんなものなのか具体的に勉強したくて建築環境にハマりました。その後、自分の小さな考えが世の中を変化させ、世界平和まで繋がって行くと思い、研究に頑張っています。建築学科助教遠藤洋平研究から広がる未来卒業後の未来像遠藤研究室では、歴史的レンガ造建築の保存の研究を行っています。特にレンガ造建築の耐力を正確に評価する解析手法の探索、またそのような解析に基づいた構造補強計画の提案を研究目的としています。歴史建造物が持つ建築的な美しさを損なわない構造補強をモットーに研究活動を続けています。歴史的建造物の謎を解き明かしていく活動は非常に刺激的です。固定観念にしばられない自由な発想力を養うことは研究に限るものではなく、社会を生き抜いていく力の育成につながります。研究室では、国内だけでなく海外でも自分らしさを表現できる人材の育成を行っています。語学はもちろん研究指導を通して、学生が国際的な幅広い視野を持つことを念頭に指導を行っています。スコットランドダンディー大学(修士)、イタリアパドバ大学(修士)、スペインカタルーニャ工科大学(Ph.D)卒業2016年3月より信州大学工学部⻄洋歴史的建築の構造解析と保存活⽤【私の学問へのきっかけ】私が、建築保存を志したときは、そのような分野を国内で学べる環境が整っておらず欧州に渡りました。欧州の異なる国での研究活動の間に、世界中のトップクラスの研究者との交流が多々ありました。彼らから大きな知的刺激を受け、研究者としての道を志すようになりました。私が受けたような刺激を研究者また教育者として、信州大学の学生に与えていきたいと考えています。建築学科スペイン、バルセロナの世界遺産建築の構造補強有限要素法解析によるイタリアの中世教会の崩壊模擬2009年の地震で大きな被害を受けた教会の解析を行った。近年行われたコンクリートによる補強のため、被害がより深刻化したことを明らかにした現場での材料実験に基づき、ヴォ-ルトの耐力解析を行った。研究成果は、実際の補強計画に利用された65

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る