工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授梅干野成央研究から広がる未来卒業後の未来像歴史的建造物の調査・研究と保存・再生に取り組んでいます。私たちは、長い時間をかけて、建築の文化を育んできました。地域のなかには、こうした建築の文化を物語るたくさんの歴史的建造物が息づいています。研究では、歴史的建造物の調査を行い、人が、どのような姿の建物を、どのように建ててきたか、さらには、建物がたてられた当初から現在に至るまでの変遷を把握します。こうした調査・研究をもとに、歴史的建造物の保存・再生について考え、地域の歴史を活かした地域づくりの提案を行っています。建築の未来を考える際、先端的な建築と歴史的な建築の双方を見通すことのできる視点が大切です。歴史的建造物の調査・研究は、その基盤になります。古いものを大切にしながら、新しいものを創造する。こうした建築の未来を構想します。歴史的建造物の保存・再生に関わる設計者や技術者、また、地域の歴史を活かした地域づくりの担い手など、幅広い可能性があります。この中には学芸員等の行政職員も含まれます。2002年信州大学工学部卒業、2004年信州大学大学院工学系研究科修了、2007年信州大学大学院総合工学系研究科修了。博士(工学)。2004年信州大学助手、2007年助教を経て、2014年より准教授。専門は日本建築史。建築の歴史をひもとき、地域の未来を構想する。【私の学問へのきっかけ】大学院では、信州のある地域をフィールドに、調査研究を進めていました。この地域には、周囲の山に抱かれて社寺や民家などがたち、美しい山村の風景を形づくっていました。経済性を優先した開発によってこうした風景が失われていくなか、私のなかに自ずと冒頭のテーマが生まれました。建築学科歴史的建造物の調査に向かう。長野県大町市にのこる伝統的な町家(塩の道ちょうじや)。調査を通じて把握した歴史的建造物の骨組みの模型を作成し、理解を深める。准教授柳瀬亮太研究から広がる未来卒業後の未来像人間は自らが過ごす環境を構築するチカラを持っていて、自らがより良く感じられる環境づくりを継続してきています。しかしながら、その目的に根ざして構築された環境が思い通りに機能しないこと、新たな問題を生み出すことは少なくありません。これらの問題について考えるためには、物理的な環境を詳細に調べるだけでなく、心理的(人間の頭の中につくられる)環境の特性を把握して、それらの対応関係を慎重に推察する手続きが欠かせません。柳瀬研究室では、建築空間や都市空間を対象に『人間-環境系に関わる研究』を行っています。上述した研究に取組むにあたっては、人間が知覚・認知している環境について理解を深めることが大切です。知覚・認知システムは、思っている以上にいい加減かつ精巧です。なぜ?どのような条件で?その性質について実験心理学的手法を用いて探求し、より良い構築空間をデザインするために活かす資料づくりが、求められています。総合建設業・設計事務所・ハウスメーカー・行政機関・地方自治体など、自らの希望に応じて、建築に関係する幅広い分野へ就職しています。いずれの分野においても、学際的な視点から建築・都市空間について考えを深める研究経験は役立ちます。2001年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了、博士(人間科学)取得。2002年、信州大学に着任し、現在に至る。専門分野は、環境心理学、認知心理学。日常的に体験する空間を対象として人間と環境の相互作用について研究。より良い環境をデザインするそのために「⼼理的環境」を探究する【私の学問へのきっかけ】思い返すと、小学から中学時代に読んだ本の影響を強く受けたように思います。伝奇や古典、推理もの、SF、ショートショートなど、その中に出てくる機知に富む登場人物だったり、魅力的な描写やワクワクする展開…単純に読書を楽しむことが多かったですが、それらの理由を考えることも同様でした。日々の行動も、何らかの理由があって多様な判断が下されるものです。それについて考えたいという願望が根底にあったのかもしれません。建築学科既存の建物をペイントなどによって疑似的に劣化させて、その質や量に応じた評価データを収集。[地域と連携した活動]スロープの勾配と距離によって生じる車椅子(自走および介助あり)による移動負荷を計測。[施設の利便性の見直し]64

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