工学部_研究紹介_2020_日本語版
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世界中の伝統的建造物の建物調査や、建物調査をもとにした建造物の保存・再生に取り組んでいます。調査の際に、建物単体のみをとらえて調査をおこなうのではなく、その建物がたつ地域の歴史や、人々の生活文化についても学ぶことで、地域の人々の考えにより身近にふれることができます。また、文化的な建物を後世にまで残していくことは、重要なことです。保存の取り組みとしては、登録文化財や重要伝統的建造物群保存地区があり、再生の取り組みとしては、利活用案や設計案の提案などがあります。古いものと新しいものとの調和的な融合を目指すことで、漸進的に未来を模索する力を身につけることができます。建築に関する文化遺産は、都市や集落に立地しているので、周辺環境と良好な関係が構築されなければなりません。そのために、周辺環境を視野に入れたあり方を建築について提案する力を身につけることができます。未来に役立てる力を研究室で手に入れて、世界に羽ばたいて、活動する未来を想像してください。全世界を視野に入れつつ、先人から承け継いだ文化遺産を後世に伝えていくことは、世界の平和へと繋がる営みです。大学で学んだことを発展させて自分を自分で高めてください。また、自分の力を発揮できるフィールドを具体的に見出して、地域に根ざした活動も求められます。地域での一つ一つの仕事が世界につながっていきます。東京大学卒業、同大学院修了、東京工芸大学助手、信州大学助手、助教授を経て2001年より現職。地域の歴史と⽂化をふまえた建物調査、伝統的建物の保存と再⽣信州大学松本キャンパスにある赤レンガ建物の保存と利活用【私の学問へのきっかけ】私が建築を目指したのは、加藤周一『芸術論集』を高校生のときに読んだのがきっかけでした。理学部で生態学や動物学をやろうと思って理系で勉強していたのですが、いろいろと本を読んでいるうちに、文系の事柄にも興味を抱くようになりました。造形的な工夫を凝らすことができ、かつ、建築作品として世に出して、後世に遺る仕事として、建築に興味を持ちました。伝統の中から創造を目指すため、大学では、建築の歴史を学びました。教授土本俊和研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科教授寺内美紀子研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科寺内研究室では、建築設計、デザインサーベイなど「デザイン」をキーワードに活動しています。また、こうした活動の理論的根拠を求めて、建築や都市空間を対象に意匠論および空間構成論として研究を進めています。建物だけでなく公園やまちなみといった、私たちをとりまく環境全てに興味をもち、特徴を理解することから、デザインは始まります。設計競技や、住宅の設計、まちづくりなど、様々なプロジェクトを通して、地域のみなさんに愛されるデザインを提案しています。寺内研究室では、様々なデザイン活動を展開しています。調査の段階からワークショップを経て、実施設計に至る息の長いプロジェクトもありますし、限られた時間のなかでベストな提案が求められる設計コンペティションにも参加しています。研究室はひとつのチームです。学生と教員が一体となってよりよい案を模索し、プレゼンテーションについても探求しています。建築設計事務所や建設会社など設計や施工部門に卒業生を多く輩出しています。また、公官庁やコンサルといった公共施設の企画や運営に携わったり、編集デザインや内装設計にすすむ卒業生もいます。デザイナーとして幅広いジャンルで活躍してくれることを願っています。東京工業大学助手、茨城大学准教授、信州大学准教授を経て2018年より現職。専門分野は、建築設計、建築意匠。住宅からまちづくりまで様々な対象でデザイン活動を展開。設計だけでなく、建築や都市空間の空間構成に関する研究も行う。建築から都市空間へ、デザインの可能性を広げる【私の学問へのきっかけ】子どもの頃から、絵や工作が好きで「手をつかう」仕事に就きたいと思っていました。高校の学園祭で舞台装置を作ったとき、受験先として「建築学科」を意識しましたが、友達の応募書類をもらって受験したくらいで、大学に入学した当初は深く考えていませんでした。なんとなくそのまま進み、大学院で建築意匠の研究室に進んで、様々なプロジェクトに関わるうちに建築設計の世界に入る覚悟ができたように思います。カフェの内装改修を研究室で実施、図面作成から家具のリメイクまで担当(雑誌「住宅建築」2018年2月号に掲載)賃貸住宅メーカーのコンペに参加、長野の資源を生かしたリノベーションを提案、最優秀賞を獲得62

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