工学部_研究紹介_2020_日本語版
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教授田守伸一郎研究から広がる未来卒業後の未来像田守研究室では建物の地震被害の低減に向けたテーマに取り組んでいます。(1)地震観測・常時微動測定による地盤構造の推定:地盤の微小な振動を測定することによって、地下数kmまでの地盤構造がわかります。この結果は、地震時の被害予測の推定に利用されます。(3)最適構造設計システムの開発:建物の設計行為をコンピュータプログラムで自動的に行えば、より性能の高い建物が一度に多数設計できます。現在は、免震建物の最適設計システムにより部材断面と免震装置の自動選択ができる段階です。地震時の地盤のゆれの大きさを適切に評価すれば,地震災害の低減につながります。また,免震構造を導入すれば、地震時の建物被害を避けることができます。コンピューターを用いて自動設計すれば,構造設計者の労力は激減するにも関わらず,性能の高い建物が設計できます。卒業生は、建築構造設計の他、建築に関わるコンピュータソフトの開発、建築現場での施工管理などに携わっています。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程を修了したのち、1989年から准教授、2017年から現職。研究分野は建築構造学。免震建物・超高層建物の構造設計が適正かの評定も行っている。地震災害低減に向けて、建物の耐震設計法の⾼度化を⽬指す【私の学問へのきっかけ】学部の卒業研究で、地盤と建物の振動に関することに取り組んだのがきっかけです。諏訪盆地における地震動のシミュレーション解析。地震動の到来方向(図の丸印)によって地震動の大きさは大きく異なる。建築学科国際的な目標である持続可能な開発目標(SDGs)を実現させるために日本政府は「省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会」を取り組みの一つに挙げています。高村研究室では再生可能エネルギー(太陽光発電など)を設置し、高断熱や高効率設備を導入して省エネルギーを達成し、資源循環が可能となる建築資材を使用した建築物の開発を目指します。建築物のエネルギー消費量は使われ方や気象条件に左右されます。また、どんなに素晴らしい技術や設備も実際に施工されなければ意味がありません。高村研究室では理論解析とフィールド調査を両輪に研究を進めています。建築物の一生(建設、運用、解体)を通して、地球環境負荷が小さく、サスティナブル(持続可能)な建築物を開発することが目標です。そのための基礎データを日々取得し分析しています。研究室で取り組む課題は教科書の演習問題と異なり答えがありません。自ら考え行動する課題解決能力を身につけます。卒業後はゼネコン、サブコン、電力会社、住宅メーカーなどに就職して活躍しています。株式会社カネカ、信州大学工学部助手、助教、准教授を経て、2018年より現職。住宅建設時に発生する廃棄物の削減対策と建築物の省エネルギー対策が専門分野。SDGsを実現する⼈と地球にやさしい建築を⽬指す!【私の学問へのきっかけ】高校時代にアインシュタインに興味をもち、理系に進むことを決めました。また、我々の生活に欠かすことができない衣食住の住に携わる仕事がしたいと思い建築学科に進みました。大学の研究室では床暖房の快適性について研究し、居住環境の重要性に気づきました。その後、化学メーカーに就職し、高断熱・高気密住宅について研究開発を行い、住宅の省エネルギーに関する専門知識を習得しました。若い元気な学生達と研究ができることに魅力を感じ、大学教員となり今日に至っています。建築学科動力を使用せず、冷涼な外気を利用して冷房エネルギーを削減することが可能となる自然換気システムの性能評価高断熱・高気密住宅の気密性能値の実測研究から広がる未来卒業後の未来像教授高村秀紀61

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