工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授松中大介研究から広がる未来卒業後の未来像松中研究室では、電子・原子のレベルから材料の特性や現象を解き明かし、最先端のコンピューターを駆使した高性能材料の設計や、省エネルギー・環境調和技術の開発を目指しています。研究課題として、自動車などの輸送機器の軽量化・燃費改善のために実用化が期待されているマグネシウム合金の変形メカニズム解明と合金元素探索、材料の適材適所使用によるマルチマテリアル化のための異種材料界面の解析、表面反応や薄膜成長を原子レベルでの制御するための表面ダイナミクス解析などを行っています。あらゆる材料は電子や原子核から構成されていますが、現実の材料との間には大きなスケールのギャップがあります。松中研究室ではマルチスケールな視点から材料特性を解明して、電子や原子のレベルから新しい材料を設計するという21世紀のものづくり手法の開発を目指しています。ものづくりの基盤を担う材料力学や材料工学から最先端の計算科学や物性物理までを研究活動を通して身につけ、新材料を研究する分野や材料の特性を活かした製品を開発する分野で活躍できる人材を育成します。日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院工学研究科助教を経て、2015年4月より現職。研究分野は、計算材料科学、固体力学、物性理論。固体⼒学現象をマルチスケールな視点から解明し電⼦や原⼦のレベルからの材料設計を⽬指す【私の学問へのきっかけ】大学では学ぶ世界が飛躍的に広がります。先人たちが築き上げてきた学問の奥深さに触れることができます。一方で、未だ解明されていない問題が数多く残されていることを知ります。そして学問の発展や新しい発見に立ち会うことになるかもしれません。そうした学びの中で興味を持つ分野が見つかるはずですし、習得した知識や技術が血肉となって考える基盤が作られていきます。機械システム⼯学科分子動力学法によるマグネシウムの変形に関する解析と第一原理計算による合金元素探索マップ:原子レベルでの変形メカニズムの理解と合金元素候補の提案を行っている第一原理計算による金属と酸化物の異種材料界面の電子状態:異なる材料の界面では複雑な結合が生じていることを明らかにした准教授山崎公俊研究から広がる未来卒業後の未来像⾃動機械に賢さを与えよう!知能ロボティクスの要素研究と実⽤展開【私の学問へのきっかけ】もともと「人々の生活で役立つ自動機械」に興味があり、ロボット分野の研究が盛んな大学へ進学しました。その後、人間の「賢さ」への興味が強くなりました。修士課程を進むころには、「賢く動いて人々の役に立つ自動機械の知能」を創ることが大きな目標になり、「知能ロボティクス」の分野を選ぶこととなりました。機械システム⼯学科私たちが普段生活している日常環境、街中などの屋外環境、災害現場などの被破壊環境といった様々な場所で、自動機械への要望が高まっています。そのような場所で働く自動機械には,周囲の事物や事象を的確に把握するための高度な認識能力が必要になります。また、有益な物体操作作業を行ったり,目的地へ移動するといった行動能力が必要になります。私たちは、そのような認識能力、行動能力を向上することを主な目的とし、認識・操作・学習に関する要素研究、そして、それらのロボティクス応用の研究をおこなっています。長野県出身。筑波大学大学院博士課程修了後、東京大学を経て信州大学へ。2017年より現職。2019年より社会基盤研究所副所長。ロボットを賢く動かすため自律知能に関する研究に従事。人間のような賢さを有し有益な作業をおこなうロボットの実現には、越えなければならない壁がまだまだあります。私たちは、ロボットが持つべき「知能」を研究しており、将来、私たちの研究成果が様々なロボットに搭載されることを期待します。山崎研究室での研究は、ロボットを実際に動かしながら進められます。テーマ設定のみならず、ハードウェア設計製作からプログラミングまで、幅広い経験をすることができます。進路としては、製品開発を行うエンジニアや、大学などでの研究者などが考えられます。布製品の実機操作と操作シミュレーション研究室には、等身大双腕ロボット、小型ヒューマノイド、単腕ロボットアーム、車輪型ロボットなどがある。左図は、双腕ロボットによる布製品操作の実験中。右図は、ロボットの屋外実験走行会に参加したときの記念写真。生活支援系の物体マニピュレーション59

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