工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授浅岡龍徳研究から広がる未来卒業後の未来像化石燃料の枯渇や原子力の安全性への不安からエネルギー不足に対する危機意識が高まっています。浅岡研究室では、エネルギーを無駄なく有効に活用するための技術に関する研究を行っています。例えば、太陽のエネルギーは、太陽光発電だけでなく、熱エネルギーをうまく回収することでさらに有効に利用することができます。また、吸収式冷凍機を使うことで、今まで利用されることが少なかった80~200℃の廃熱を、冷凍や冷房に利用可能な(価値の高い)熱エネルギーとして生まれ変わらせることができます。冷凍冷房機器に蓄熱システムを組み込むことで、機器の運転条件を最適化し消費電力を抑えることが可能になります。今後、クリーンなエネルギーに依存した社会をつくっていくためには、これらの技術は不可欠です。自然と調和しつつエネルギー不足を回避するためには、新エネルギーを開発するだけでなく、エネルギーの使用量を減らすことが不可欠です。太陽熱利用、吸収式冷凍機、蓄熱システム、ヒートポンプなど、エネルギーの有効活用の研究は、人々の未来の暮らしを豊かにします。浅岡研究室で身につける熱の知識は、工業製品の設計などの仕事をする際にとても役に立ちます。研究室の卒業生は、空調機器メーカーや自動車関連メーカーなどで活躍しています。東京工業大学大学院博士課程を修了後、青山学院大学助教を経て、2013年より現職。熱工学、伝熱工学、冷凍技術に関係した研究に従事。エネルギーを有効に活⽤することでエネルギー問題の解決を⽬指す【私の学問へのきっかけ】常識をくつがえすような新技術の誕生により時代や文明が大きく前進してきました。そんな新しいアイディアを自分でうみだすことができたらカッコいいと思っています。エネルギー問題は私が子供のころからの大問題ですがいまだに大した進歩がなく、まさに今までの常識では解決できない難問に違いありません。エネルギーや熱は目に見えず扱うのが難しいですが、知れば知るほど面白いと感じます。まだほど遠いですが、未来の新発見に向けてがんばっています!機械システム⼯学科卒業研究の風景学生の自作による実験装置。模擬太陽光のエネルギーを光と熱に分離して利用する実験准教授飯尾昭一郎研究から広がる未来卒業後の未来像純国産最大の再生可能エネルギーである『水力』。水力発電と言えば山奥にダムを建設する大規模発電所の印象がありますが、これからの水力発電は小規模分散型。身近にある小規模河川や農業用水路の水を利用して需要地近くで発電して電力を供給します。飯尾研究室では、水力の地産地消はもとより、水車の製造、運用、維持管理までも地元で完結できる地域持続可能型の水力タービンおよびその周辺技術の開発・導入を実施しています。国内外での小水力の普及拡大を目指しています。全発電方式の中でライフサイクルCO2排出量が最も少ない小規模水力発電は、地球温暖化防止の観点からも注目を集めています。これまでの卒業生は、水力発電機器、自動車、プラント、ポンプ、空気圧機器、空調設備、工作機械等の機械関連業界に就職し、設計や商品企画、研究開発などの『ものづくり』担当のエンジニアとして国内外で幅広く活躍しています。宮崎大学博士後期課程修了後、信州大学助手、同助教を経て、2011年より現職。研究分野は流体工学、流体機械。特に、水力タービン開発、キャビテーション現象の解明、制御に取り組んでいる。Sustainable Developing Hydroturbines:技術と⽔⼒エネルギーの地産地消の実現【私の学問へのきっかけ】理数系科目が苦手ながらも機械いじりが好きな高校生でした。“好き”を優先して大学進学し、機械工学分野にハマりました。伝統的な流体機械技術分野において、固定概念にとらわれない自分の自由かつちっぽけな発想が世の中に役立っていることを実感できるのが研究活動のエネルギー源になってます。機械システム⼯学科“地域持続可能型の水力タービンの実現”が飯尾研究室での研究活動です。流体工学、流体機械の技術により、水力タービンの高効率化、低コスト化を実現します。CFD解析、ラボテストを経て、水力発電所への導入までを手掛けています。2019年に開発された新型水車のCFD解析結果(左)とラボ試験の様子(右)[国内外3大学、2企業との連携研究]湧水で発電する開放形貫流水車(左)と、温泉から自噴するジェット水流で発電する衝動水車(右)。それぞれ電気柵と衛星電話の電源に利用54

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