工学部_研究紹介_2020_日本語版
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教授深田茂生研究から広がる未来卒業後の未来像私達の身の回りにあるディジタル家電製品(DVD、デジカメ、携帯電話など)の高性能化は、機械部品・電子部品の加工・測定技術の高精度化と微細化によって支えられています。そのためには、ナノメートルレベルから原子レベルを越える細かさと精度でモノを動かす技術が必要不可欠です。深田研究室では、精密機械システム分野、特に精密機械要素および精密機構の計測制御に関する研究を行っています。現在の具体的な研究対象は精密位置決め機構とその構成要素で、その特性解明と性能改善や、新たな位置決め機構の開発をめざしています。機械部品や電子部品の加工精度は、その時代とその国の技術レベルを示す指標です。部品の加工精度が向上すると、あらゆる機械や機器の性能が現在よりもさらに良くなります。また、超精密にモノを動かす技術がさらに進展すると、原子レベルの細かさをもつ超微細な構造物を人工的に作り出すことが可能になるので、新たな医療機器や画期的な環境技術を生み出す可能性が開かれます。深田研究室ではそうした超精密な実験装置を全て学生達が設計製作し、コンピュータで制御するためのソフトウェアも自らの手でプログラミングしています。そうした体験をもとに卒業後は様々な分野のエンジニアとして活躍しています。東京工業大学精密工学研究所を経て、2005年より現職。研究分野は精密工学、超精密メカトロニクス。メカニズムの設計にはエンジニアとしてのこだわりがある。精密工作や精密組立は半ば趣味。原⼦レベルの細かさと精度でモノを動かす超精密なメカニズムの実現をめざして機械システム⼯学科ナノメートルレベルの分解能を実現した超精密位置決め機構。1立方ミリメートルの空間内の位置を1ナノメートル単位で刻むことができる.はじめてオングストロームレベル(原子レベル)の位置決め分解能をボールねじ駆動で実現した超精密位置決めステージと,それを応用した超精密旋削加工装置教授辺見信彦研究から広がる未来卒業後の未来像辺見研究室では、電気と機械を融合したメカトロニクスの重要な要素であるセンサやアクチュエータの開発とその応用研究をしています。アクチュエータとは物を動かすための装置のことです。例えば加速度の時間微分値であるジャーク(加加速度)を測ることのできる新しいセンサを独自に開発し、その応用に取り組んでいます。精密位置決め機械で多用されている圧電セラミックスの材料特性や応答を詳細に調査して、高効率で超精密なセンサ開発などに取り組んでいます。また呼気中の特定物質を検出して糖尿病診断センサシステムの開発を海外の共同研究者とともに取り組んでいます。本研究室で進めている研究は、工業技術や生産技術への応用につながる速戦的な内容であったり、将来の科学の発展に寄与することが期待される新しい事象の探求など、学問的にも興味深い斬新的な内容です。本研究室では、ハードウェアとソフトウェアの両方を取り扱っており、学生はその両方が出来る技術者になって巣立ちます。研究を通じて学んだ物事に対処する能力と、研究室で苦楽をともにした仲間との繋がりは一生の宝となっています。東京工業大学博士後期課程を修了後、東京理科大学理工学部助手、信州大学工学部機械システム工学科講師助(准)教授を経て、2014年より現職。精密機構・加工、振動の計測と制御、新センサの開発研究などに従事。超精密機械とメカトロニクス要素技術(センサ、アクチュエータ、機構)【私の学問へのきっかけ】現在の道に進んだきっかけは、湯川秀樹博士に関する本を中学生のときに読み、漠然と物理学者になりたいと感じたことに始まります。それまでは自分もまわりも父の仕事を継ぐものと過ごしていましたが、世の中に貢献するには科学分野に進んだほうがより広く役立てるだろうといった大それた夢を抱き、最終的に大学受験で理工系への進路を決めました。ものづくりの基礎と応用、そして自分のできることを通じて少しでも人の役に立ちたいといまも考えています。ジャークセンサによる軸受損傷診断実験装置:独自に考案したセンサと信号処理法によって、極低速回転下でも診断を可能とした機械システム⼯学科圧電セラミックスのフレクソエレクトリック効果の測定実験装置:ねじり変形により高出力が得られることを発見し,新しい角加速度センサの開発を進めている52

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