工学部_研究紹介_2020_日本語版
53/92

教授千田有一研究から広がる未来卒業後の未来像千田研究室では、メカや自動車等の移動体、ロボットや人体など、運動する物体の『動き』の解析とモデリング、運動状態の推定と予測、およびその自動制御に関する研究を行っています。そこでは、数学を基礎とした『制御工学』を活用し、新たな付加価値をもたらす技術の創造を目指しています。それらの研究成果は、車両の自律走行制御、空圧式除振台の高精度な振動抑制、ほうれん草やレタス収穫装置などの農業用ロボットの開発など、様々な対象に応用することができます。『制御工学』は、『動き』のある対象に適用できる横断的な科学技術です。例えば、メカの動きも人体も、物理的な運動の意味では同様に捉えることができます。制御工学は、複雑化した社会における基盤技術として、重要性が高まっています。研究室では、愛情の有る厳しさをモットーに研究指導しています。『大学は、社会人として自立する通過点に過ぎない。社会に出てから困らない程度の自力をつけて卒業できれば、将来の大きな飛躍に繋がる。』というのが、先生の口癖です。(株)東芝研究開発センターを経て、2002年4月より信州大学工学部。制御工学、システムモデリング、信号処理、ロボット工学、システム設計工学と、その産業、農業、福祉医療、などへの応用に関心がある。システムの動きを予測し、意のままに操る。『制御⼯学』の極意を探求【先生の学問へのきっかけ】自分でも理由は良く解りませんが、何故か惹きつけられるものが有ったように思います。制御を使ってロボットを思いのまま動かすなんてカッコ良いと言った程度の、単純なものかもしれません。でも、その興味がいつまでも続いている。そんな状況が長く続いて、気づいたらこうなっていたという印象です。でも、一度は諦めて、大学院を修了後、一般企業に長く勤めました。そのままエンジニアでいることもできたので、まさか大学に戻ることになるとは思っていませんでした。でも、こうなったのは、自分の意志だけではなく、色々な巡り合わせもあるのだと感じています。機械システム⼯学科空気式除振台の性能を向上させるアクティブ制御技術の開発。研究成果は、(財)油空圧機器技術振興財団などから優秀論文として顕彰された履帯車両の自律走行制御用実験装置(研究室学生の自作です)教授中村正行研究から広がる未来卒業後の未来像機械装置・システムの設計は、材料の性質や力学、地球環境への配慮、設計方法など多くの知識が総合される過程です。機械の軽量化や高性能化、エネルギー・資源の使用量低減には最適化が欠かせません。製品の製造から使用・廃棄、材料の再利用、安全・安心の保証まで、物づくり全般における環境適合設計が必要です。ものづくりと地球環境および人間との“調和”を実現する「最適化」の技術、まだ存在しない“未来”を計画し創造する「設計」の技術をキーフレーズとして、機械工学分野の各種最適設計や最適化手法、設計開発手法について研究しています。最適化により機械の性能向上だけでなく、エネルギーや資源を有効利用できます。環境適合設計や高速コンピューターを利用したモデルベース開発などの設計開発手法は、地球環境に配慮し安全安心を保証するために欠かせない技術です。設計は深く精密に思考する能力を鍛え、考える力、創造する力を育みます。卒業・修了生は自動車・電機・建設機械・医療機器・光学機器・情報機器メーカー、空調設備・水処理・建設、電力・ガス・水道などのインフラ、企業の研究所、研究職・行政職など広範な分野で、設計・開発技術者、研究者、公務員として活躍しています。長野県精密工業試験場勤務の後、信州大学工学部助手、助教授を経て2006年より現職。専門は設計工学、計算力学。主な講義科目は「材料力学」「光工学」「最適設計学特論」「理科指導法(教職科目)」。“調和”を実現する「最適化」の技術、“未来”を創る「設計」の技術【私の学問へのきっかけ】父親が農業機械の販売・修理と開発・製作の仕事をしており,子どもの頃から身近にさまざまな機械部品や工作機械,分解されたエンジンなどがあり,作業場は遊び場でした.機械工学がイメージしやすい環境でした.大学の研究では数学と物理学を便利に使って,実験装置はコンピューターの中に作り上げて(プログラミングして)進めています.実現象や、まだ実現できていない“未来”までを,目に見えるように表現できる学問はおもしろい!機械システム⼯学科チーム最適化(最適家)の主な研究テーマは、ロボット動作、太陽光利用、熱磁気モーター、ドローン画像からの3次元再構成など広範囲未利用エネルギーを環境から取り出す装置(熱磁気モーター)の数値モデルを、多目的最適化手法を応用して構築する研究51

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る