工学部_研究紹介_2020_日本語版
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教授北澤君義研究から広がる未来卒業後の未来像インクリメンタルフォーミングにより、金型を用いないで金属薄板を成形できるとともに、室温状態で金属薄板へも戻すこと(コールドリサイクル)ができ、再成形も可能になることが明らかになってきました。熔解過程を経ないため,エネルギ使用量とCO2排出量の大幅、削減も見えてきました。透明性圧縮木材は実験中に偶然発見されたエコマテリアルで、様々な製品への用途展開が期待されます。東京工業大学大学院修了後、長岡技術科学大学助手、信州大学助手、助教授を経て2004年より現職。研究分野は、塑性加工(インクリメンタルフォーミング)、環境材料、リサイクル、文部科学大臣賞(日本工学教育協会)受賞。⾦属板の3D「インクリメンタルフォーミング」究極の⾦属リサイクル「コールドリサイクル」透明なエコ新素材「透明性圧縮⽊材」【私の学問へのきっかけ】子供のころから「形」に興味があり、自動車・鉄道・ロボットなど目に見える物たちで溢れている機械工学へ進みました。入学してみると、そこは「力学」の世界でした。力は目に見えなく、形としてイメージできないため、当初は感的に違和感がありましたが、勉強していくうちに、形という具体的なイメージで理解できることがわかり、この違和感は消え、「知りたい」が湧き出るようになりました。機械システム⼯学科インクリメンタルフォーミング・コールドリサイクル・エコマテリアルの実験的研究を行った卒業生の皆さんは、自動車・電気電子機器・精密機器・エクステリア・金属などのメーカーで技術者として活躍しています。北澤研究室では、製品ライフサイクル(製造・使用・リサイクル)中に生じる環境問題(資源枯渇・地球温暖化・人の健康被害等)を改善する新しいエコテクノロジーの開発に取り組んでいます。①大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却を可能にし、必要な物を必要な量だけ迅速に製造するインクリメンタルフォーミング、②プラスチックなどの石油資源依存からの脱却を可能にし、安全な植物を原料とする機能性新素材、③金属リサイクルの環境問題(エネルギ消費・温室効果ガス排出・品位低下)を解決する新しい金属リサイクル(コールドリサイクル)を研究しています。教授榊和彦研究から広がる未来卒業後の未来像榊研究室では、機械材料と加工法の研究をしています。環境問題の解決策とも関連し、機械の高性能化を図るため部材がますます過酷な環境下で使用され、部材の外界との接点である表面の高機能化が重要となっています。そこで、現在は厚膜形成が可能なコーティング技術である『溶射法』による高機能皮膜の作製や新しい溶射プロセスである『コールドスプレー(ColdSpray:CS)法』を研究しています。溶射は、材料、力学、熱流体力学などの多数の分野の知識を必要とし、研究室では基礎的な研究から、企業との共同研究によって数多くのアプリケーション開発まで行っています新しいコーティング法のコールドスプレー技術の国内でのパイオニアであり、基礎研究のほかに、共同研究を精力的に行っています。新たな機能性皮膜や新しい接合メカニズムによるセラミック基材と金属皮膜による電子ディバイスの開発などを行っています。自動車、航空宇宙産業船、プラントや精密・医療機器などのメーカーに卒業生は就職しています。研究テーマにとらわれず、自分の希望する分野を選択していますが、研究室での基礎学力と現場適応力を身に着けて、企業で活躍しています。千葉県出身。信州大学工学部機械工学科、大学院(修士)修了、株式会社東芝を経て、1993年信州大助手、2014年より現職。研究分野は、機械加工や機械材料で、現在は、コーティング技術である溶射工学を中心に活動。機械・電⼦部材の⾼機能化のための環境配慮型『コーティング技術の開発』【私の学問へのきっかけ】子供のころから,無駄のない形で、大空を自由に飛び回れる飛行機が好きで、絵を書いたり、プラモデルを作ったりして夢中でした。大学進学の際、実家がモノづくりの職人であったこともあり,機械工学科に進学しました。卒研と修士研究では、恩師の人柄に惹かれて機械加工を選択し、現在の溶射技術の研究に繋がっています。航空機メーカーから共同研究の話があったときには思わずガッツポーズでした。一生懸命にやっているといろいろなご縁があります!機械システム⼯学科ガンノズル形状の最適化の⇒ためにフレームジェット状態(写真上)を数値シミュレーションの結果(写真下)と比較←約600m/sの高速で鋼板上に衝突した銅粒子(10μm):鋼板との界面からひだ状のマティリアルジェットが噴出49

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