工学部_研究紹介_2020_日本語版
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助教近広雄希研究から広がる未来卒業後の未来像道と道を繋ぐ「橋」。もしこれが災害でなくなってしまったらどうなるでしょう。復旧活動・救援活動と様々な活動場面に影響を与えてしまいます。近広研究室では、橋の防災・減災を対象に、①:迅速復旧可能な新しい橋の技術開発、②:地震や座屈などの問題に対する橋の上部工・下部工の安全性評価を行っております。例えば、①では右図のように、橋を速く架設する手段の一つとしてシザーズ機構と呼ばれる展開構造物を応用した橋の開発研究や、②では橋脚内にコンクリート充填された鋼製橋脚の耐震性評価を行っています。シザーズ構造をはじめとした展開構造物の応用研究は、土木分野でまだ多くありません。当研究室では、このシザーズ橋の動的問題・地震時挙動・構造最適化などを通じて現場安全性を評価しています。また橋本体だけでなく、鋼製橋脚などの下部工の耐震性評価も行い、設計指標を探っています。当研究室の卒業生は、官公庁・鉄道会社・建設会社など多岐にわたっています。特に、研究成果やその知識を活かし、橋の維持管理に携わったり、専業メーカーに就職する学生も大勢います。【私の学問へのきっかけ】九州北部豪雨災害や紀伊半島豪雨災害など被災地調査で、ものが「壊れた」現場を目の当たりにする機会がありました。当時は研究室に入りたての大学生でしたが、身近な土木構造物だからこそ災害時になくなってはならない!と未熟ながらも強く感じ、それまでに学んできた学問を通じてどうにか自分でも貢献ができないかと思い、この道を志しました。⽔環境・⼟⽊⼯学科広島県出身。広島大学大学院博士課程後期を修了後、2016年より現職。研究分野は橋梁工学、構造工学。現在は、橋の防災・減災技術の開発やアルミニウム合金材や展開構造物などの土木分野への応用に興味がある。橋などの道路網の損傷に対して、生存者・負傷者の迅速な救助・救援を可能とするためにも、新しい橋復旧システムが必要である展開構造物を利用した折畳んだ状態で現場まで輸送できる「シザーズ橋」の開発研究の例⾃然災害からどうやって橋を守る?自然災害による橋桁の流出48

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