工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授村松寛之研究から広がる未来卒業後の未来像【私の学問へのきっかけ】自分で合成したナノ炭素の構造解析や機能解明が面白く思ったことがきっかけです。⽔環境・⼟⽊⼯学科⾼機能ナノ炭素の合成と⽔環境エネルギーデバイスへの応⽤を研究する研究対象はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーをはじめとしたナノ炭素です。ナノ炭素を触媒化学気相成長法を利用した合成研究や農業廃材等を原料にした合成法の研究もしています。例えばバイオマスである籾殻に含まれる炭素、ケイ素成分を活用することでナノ炭素やそれらのハイブリッド複合体が調整できます。応用としては軽量複合体、リチウムイオン二次電池用負極、スーパーキャパシタ用電極、水浄化用デバイス電極などへ展開を目指しています。ナノ炭素は夢の素材として世界的に注目されています。本研究室ではナノ炭素を農業廃材等から合成し、物性解明、それらの物性を利用した水環境エネルギー分野への応用研究も目指しています。主体的に研究を取り組む能力、問題解決能力、コミュニケーション能力といったことを研究活動を通じて自ら取得できるように力を入れていますので、どの分野・職種でも役立つと思います。籾殻から合成したグラフェン被覆炭化ケイ素ナノファイバー、グラフェン構造体の電子顕微鏡写真とその構造モデル信州大学大学院後期課程を終了後、日本学術振興会特別研究員(PD)、長岡技術科学大学助教を経て現職。研究分野はナノ炭素の合成、物性検討を中心に水環境エネルギーデバイスへの応用研究某県管理の橋梁の橋齢分布から、2022年には半分以上の橋梁が50歳以上になることが分かる。この傾向は全国の橋梁にも見られる橋梁劣化のメカニズムを明らかに、橋梁崩壊の教訓を吸収し、橋梁の⻑寿命化を⽬指す日本は人口の高齢化だけでなく、橋梁の高齢化も急速に進んでいます。2022年には高度経済成長期に建設された橋梁が全部50歳以上の橋梁になり、全国約半数の橋梁が高齢化橋梁になります。橋梁の維持管理、メンテナンスの技術がとても重要です。曹研究室では、橋梁劣化のメカニズム、日米欧における橋梁マネジメント技術、橋梁の長寿命化等に関する研究を行っております。現役橋梁の点検や劣化診断、調査をするために、橋梁の現場にも行きます。又、環境による橋梁・道路の熱パフォマンス、凍結状態に与える影響等にも研究しております。曹研卒業生が参加した老朽化橋梁の解体工事。橋脚にアルカリ骨材反応と疑われるひび割れが見られる助教曹⻄曹研究室では、基礎知識や工学の専門知識をベースに、卒業研究を通して、問題を見つけて解決する観察力・研究能力、仲間と助け合う協力性、国際感覚を有する豊かな人間性を養います。将来、土木工学分野の技術者・研究者になり、道路・橋梁等の維持管理を行ったり、耐震性の強い長寿命な橋梁を設計したり、土木の建設現場を管理したり、海外で質の高い技術支援を行ったりすることが出来ます。土木や建設分野の国家・地方公務員になって、道路・橋梁等の維持管理に携わります。建設会社や原子力発電所、JR、建設コンサルタントに就職し、活躍されます。土木・建設会社の現場一線で力を発揮することもできます。更に、海外でも土木技術者として貢献できます。(洋食屋さんに転身した卒業生もいます。)大阪府立大学共同研究員(中国国家公派訪問学者)等を経て、信州大学工学部に勤務。研究内容は橋梁の維持管理・マネジメント、橋梁劣化のメカニズム、道路・橋梁等の熱伝導、凍結のメカニズム等である。研究から広がる未来卒業後の未来像⽔環境・⼟⽊⼯学科 2153 (53.9%)1156 (28.9%) 752 (18.8%)13681837 2049132528 560132 2923433433430%20%40%60%80%100%20222012200950年以上25年以上~50年未満15年以上~25年未満15年未満不明【私の学問へのきっかけ】人間が長生きを望んでいるように、どの国も橋梁等のインフラを長く使いたいです。2007年アメリカで発生した、多数の死傷者を出した橋梁の崩落事故が学問へのきっかけの一つでした。このような大惨事を他の国で発生させないようにする為に、橋梁の設計段階から供用生涯を終えるまで、どのように維持管理を行うべきか、国内外の落橋事故からどんな教訓を吸収すべきか等について研究し、橋梁の長寿命化と繋ぎたいです。(写真提供:柳澤直徳)47

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