工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授豊田政史研究から広がる未来卒業後の未来像世界各地でさまざまな水環境問題や水害が起きています。豊田研究室では、主に長野県内の湖沼・河川を中心として、これらへの対策を「水の動き」の観点から考えています。具体的には、現地観測・コンピューターシミュレーション・地形図の判読などを通して、実際の湖沼や河川で「水がどのくらいの速さでどの方向に動いているか」を計測・予測することにより、諏訪湖における水環境問題解決や長野市内における水害対策策定のための基礎的な現象の解明を行っています。人は自然の中に住まわせてもらっています。自分たちの研究・調査結果に加えて、他の研究者(例えば、生物・地質など)や行政などが出した結果をあわせて総合的にとらえ、よりよい自然とのつきあい方を考えていくことがこれからの時代では必要になってきます。国・県・市などで土木事業全般に幅広く携わる「公務員」が最も多く、次いで計画・調査・設計業務を主に行う「建設コンサルタント」、その他ではIT関連企業に就職した学生もいます。京都大学大学院修士課程、運輸省港湾技術研究所研究官、信州大学工学部助手・助教を経て、2017年より現職。研究分野は、湖沼・河川における「水の動き」。⽔環境問題や⽔害を『⽔の動き』の観点から考える【私の学問へのきっかけ】高校時代は、自然現象(自然災害、自然環境)に興味がありました。自然そのものを学ぶのならば理学部、自然と人や生物とのかかわりを考えるならば工学部の土木と考えました。最終的には、自然と人や生物とのかかわりを考えるのがおもしろいと思い、土木工学科を選択しました。その後、4年生になって研究室を選ぶときに、師事したいと思った先生の専門である「水」を選び、現在に至ります。⽔環境・⼟⽊⼯学科諏訪湖での湖上観測風景役割を手分けし、流速や水質などを観測している長野市内における地形からみた水害危険区域(黄色・赤色)今昔の地形図を判読し、地形特性から水害危険区域を抽出する准教授竹内健司研究から広がる未来卒業後の未来像竹内研究室では、21世紀素材であるカーボンナノチューブに代表されるナノカーボン(ナノメータサイズで精緻に構造が制御され、それによって従来には無い高度な性能が付与され、革新的な機能を発現する炭素体)について研究しています。それらナノカーボンの精緻な生成・構造制御により、超高機能複合材、超軽量導電体、高性能エネルギー貯蔵デバイス(リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ)および高性能水分離膜などに応用しています。身近にある炭素は古くて新しい魅力的な素材として今注目されています。ナノカーボンを用いたナノ構造制御による高強度かつ超軽量ケーブルによって宇宙エレベータも夢物語ではなくなってきています。また、世界中で水不足が大きな問題となっており、革新的な水分離膜の実現に大きな期待が寄せられています。当研究室では、物理、化学、電気など広範囲に渡って先端ナノテク研究を行っています。それによって卒業生は、化学、材料、水処理、環境、自動車、繊維、食品といった企業や研究機関での活躍が期待できます。21世紀の⾰新的素材であるナノカーボンを⽤いて世界の環境問題に挑む【私の学問へのきっかけ】小中学生の時にコンピュータに興味を持ち、漠然と科学者に憧れを感じていました。高校生や大学生になると恩師の影響もあり、特にナノ物質について興味がわいて、この世にない全く新しい物質を自力で創成してみたいと強く思うようになりました。まだ満足できる物質は創成できていませんが、一生かけてチャレンジしていこうと思います。⽔環境・⼟⽊⼯学科ナノカーボンの構造モデル(左)と当研究室で主に研究している二層カーボンナノチューブの高分解能電子顕微鏡写真(右)構造制御したナノカーボンを用いた強靭性を有する海水淡水化用高性能メンブランの構造モデル信州大学大学院工学系研究科博士課程を修了後、企業技術者を経て2008年より現職。研究分野はナノカーボンの創成と応用。45

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