工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授寒川典昭研究から広がる未来卒業後の未来像寒川研究室では、治水・利水計画を策定するための降水量の非定常頻度分析に取り組んでいます。治水計画とは洪水に対する計画、利水計画とは渇水に対する計画です。従来、これらの計画に用いる確率降水量は定常頻度分析から求めていましたが、近年、降水量時系列は非定常性を示すことが明らかにされてきました。従って、非定常頻度分析が必要となってきます。同研究室では、この課題に1991年から取り組んでいます。おそらく世界でも類を見ない研究といえます。2018年度から、千曲川流域平均降水量について非定常頻度分析の導入に取り掛かりました。2020年度末までに千曲川流域への適用は完成させる予定です。降水量の非定常頻度分析は、将来起こり得る洪水・渇水を防御する計画指標を与えます。洪水指標は増加する傾向にあり、渇水指標は減少する傾向にあります。どちらの指標も規模を大きく取らねば成りません。当研究室は行政側の指示待ちです。寒川研究室の卒業生は、公務員、ゼネコン、コンサルタンツに就職し、大いに活躍しています。研究室で取り組んだ内容を実務に生かすには、今少し時間がかかりますが、そのような状況になることを大いに期待及び楽しみにしております。近い将来実現するでしょう。信州大学工学部助手、助教授を経て、2007年より現職。主な研究分野は、水文学・水資源工学。特に、治水・利水計画に用いる降水量の非定常頻度分析。この分野では先駆的な論文を数多く発表。現在,実用化の段階。洪⽔・渇⽔対策に対する治⽔・利⽔計画を策定するための⾮定常な確率降⽔量の算定年最大日降水量100年超過確率降水量経年的に増加傾向にある(新潟)年降水量の非超過10年確率降水量経年的に減少傾向にある(新潟)⽔環境・⼟⽊⼯学科【私の学問へのきっかけ】私が生まれた和歌山県日高郡日高川町は、よく大きな台風が襲来します。それにより、家屋の浸水や土砂崩れ等が起こり多大な被害が発生します。これを何とか防ぐ方法はないか幼少の頃から考えておりました。大学に進学して、これらの事を取り扱う学問として水文学がある事を知りました。以来、私の研究は水文学になりました。そして、水文学で卒業論文、修士論文、博士論文を書きました。又、この様な事を研究できる就職先として、大学を選びました。大学での研究は水文統計一筋で行っております。そして、洪水対策に対する研究成果を発表し、社会の役に立てたと自負しております。今後も、同様の研究をつづけていくつもりです。准教授高瀬達夫研究から広がる未来卒業後の未来像高瀬研究室では、土木計画、そのなかでも主に交通に関する分野について研究を行っています。計画を策定したり施設の整備を効率的かつ効果的に行うためには、利用者の需要を予測したり、定量的・定性的な評価をしたりする方法について、より精度の高い手法を構築する必要があります。そのため現在研究室では個人の交通選択行動を社会学・心理学的視点からだけでなく、自然科学的な要素も考慮して分析するモデルの構築に取り組んでいます。この様に人の行動を明らかにすることによって、交通を基軸としたまちづくりを進めて行くことに取り組んでいます。高瀬研究室では、様々な交通に関する問題に対して取り組んでいます。また自治体等と連携し調査や分析を行ったり、公共交通の利用促進策を計画したりしています。将来的には交通体系を考えたまちづくり、「交通まちづくり」を進めていきます。「交通まちづくり」を進めて行くためには、単に人の行動の把握や交通システムに関する知識を有するだけでなく、地域の人々とのコミュニケーションが欠かせません。将来はこれらを身に付けたコンサルタントとして、よりよい地域づくりを行う人になることが考えられます。1996年より信州大学工学部に勤務。主な研究分野は土木計画、交通計画。⼈の⾏動を分析し、交通を基軸としたまちづくりを進める⽔環境・⼟⽊⼯学科【私の学問へのきっかけ】土木工学科を選んだ理由は、工学部のなかでも幅が広く、計画やマネジメントの分野もあることでした。入学後にはじめて、普段何気なく使っている交通が専門分野の一つで、人や物の動きを分析し、人々が安全で使いやすい交通が計画・設計されていることを知り、自分の学問の専門分野としました。交通計画は実際に必要としている地域の人々と一緒に考えて行くこともあり、現在ではやりがいを感じるようになりました。将来の基軸となる種々の交通システム世界の都市の交通まちづくり44

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