工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授清野竜太郎研究から広がる未来卒業後の未来像清野研究室では、高分子材料の一つである高分子膜に関する研究を行っています。多様な高分子膜を作製し、それらを利用した様々な膜プロセスに取り組んでいます。例えば、有用な成分を含んだ混合液があったとすると、有用な成分だけを取り出すことができれば、その成分を再利用することができます。また、取りだした成分が、環境に悪影響を与える物質であれば、環境保全にもつながります。具体的には、有機溶媒を含む廃液からの有機溶媒のみの回収や排液中に含まれる有用成分の回収などの膜プロセスに関する研究を行っています。各種膜センサーの開発にも取り組んでいます。環境保全の重要性は言うまでもなく、資源の少ない日本においては、いかに資源を有効に活用するかが大きな課題です。膜分離プロセスは、これらの課題を解決できる手段の一つです。清野研究室で取り組んでいる様々な膜プロセスを複合的に組み合わせることにより、様々な物質を感知し、必要な物質を分離し、それを回収し、再利用システムの構築が可能となります。学部卒業生のうち、多くが修士課程に進学し、研究活動や勉学を継続しています。その後は、研究内容を生かして膜分離の事業を行う企業や高分子材料関係の企業に就職する学生が多数です。信州大学助手、助教授を経て、2007年より現職。専門は、高分子化学、高分子材料。特に、高分子膜の合成、高分子膜輸送現象の解析、高分子膜分離プロセス。【私の学問へのきっかけ】子供のころから、身のまわりにあるものや身のまわりで普通に起こる事象に不思議を感じたり興味を持ったりしていました。雪はなぜ白いのか、ガラスはなぜ透明なのか・・・。高校に入って様々な化学の実験を体験しました。中でも、単純な操作ながら、アルカリ金属を水に入れた際の激しい化学反応が最も印象に残っています。反応の一つが、最もありふれた物質の一つである水だったのもその一因でした。今も様々な現象に興味を持って研究を進めています。⽔環境・⼟⽊⼯学科必要なものだけをいかに分離するか“膜”の可能性を探る着色した廃液から着色成分除去を目的として行った膜分離実験の装置図と実験結果。膜ろ過により着色廃液からほぼ透明な液体を回収中空状高分子膜の断面写真。膜の厚さや大きさを変化させた中空糸膜が作製できる准教授小山茂研究から広がる未来卒業後の未来像土木材料としては、鋼材・コンクリート・地盤材料等が主として用いられていますが、最近ではFRP(繊維補強プラスティック)やFRC(繊維補強コンクリート)といった新しい材料も使われるようになっています。例えばFPRに着目すると、自動車産業等では大きな地位を占めていますが、土木分野においてはFRPのみで作られた橋が日本には一橋しかないように、巨大構造物に使用したときの性質については、解明されていない点や改善すべき点が幾つかあります。小山研究室では、このような材料や構造物の力学的な挙動を予測するための数値シミュレーションを行っています。上で挙げたような材料には、耐震上有利となる軽量性、厳しい環境での建設に有利となる耐腐食性、デザイン上有利となる流動性といった特徴を兼ね備えており、従来に比べ自由度の高い土木構造物の設計・建設が期待できます。研究室の卒業生は、国土交通省、県庁、市役所、総合建設業、JR、コンサルタント等に就職し、幅広い分野で社会や地域を支える活躍をしています。東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了後、同大学助手、信州大学工学部助手・助教を経て、2009年より現職。専門は計算力学、材料気力学。その他、土木工学に関する様々なシミュレーションにも興味がある。⼟⽊⼯学における新しい材料を解析する【私の学問へのきっかけ】工学部では色々なものづくりに関わることができますが、どうせ作るなら大きいものがいいと考え土木工学科を選択しました。土木工学科に入学して、構造・水理・地盤・計画・環境など幅広い分野を学んだ結果、実験よりは数値解析や数式によって現象の予測が可能な構造分野が自分に合っていると考えこの道を選びました。⽔環境・⼟⽊⼯学科SiC補強5456Al弾塑性複合材料の巨視的応力ひずみ関係の予測及び実験値との比較43

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