工学部_研究紹介_2020_日本語版
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准教授榮岩哲二研究から広がる未来卒業後の未来像現在の情報化社会を支えているのは半導体を中心とする電子の流れ(電流)を制御する電子デバイスです。更なる省エネルギー・高速化の切り札として電子のスピン情報を活用するスピントロニクスデバイスが期待されています。榮岩研究室では、スピントロニクスデバイス材料として、磁気ナノワイヤー或いはドットが絶縁体を介して規則配列したナノ構造体に注目し、その材料開発研究を行っています。規則的なナノ構造を作るために、界面活性剤(石鹸)の自己組織化によって生み出されるハニカム構造の活用も進めています。榮岩研究室では、スピントロニクスデバイスを構成する磁性材料の研究を行っています。磁石は簡単に磁化(NS)方向を替えないよね。磁気デバイスは状態を維持するために電流を流し続ける必要が無く、スピン注入による高速スイッチングといった省エネルギー・高速化の有力候補です。材料開発は、材料の合成に始まり、構造解析、元素分析、微細構造観察、電気・磁気測定等による評価結果を再び合成条件にフィードバックすることの繰り返しで、正にエンジニア教育です。真空技術、測定・分析・観察技術を身につけたエンジニアが巣立っています。大学3年生の時に「これからはマグネだ!」と思い込み、それ以来、磁気記録材料・磁気センサ材料の開発とデバイスへの応用といった磁性材料を中心に研究。最近は里山保全NPO活動も行っています。ナノサイズ磁性体の創⽣とセンサ・磁気デバイスへの応⽤電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】電子回路が好きな電子工学志望でした。が、高校での適性検査で、理学系も適。そこで将来について考え直し(単純ですね)、物理工学を選びました。大学では、多くの研究室を訪ね、私の先生に出会い、研究室に居候。超伝導や磁性体等を体験し、それから磁性材料を相手に記録やセンサーへの応用研究に取り組んでいます。物事や人との出会いで人生が変わるよ!ナノ構造を観察するためには走査型透過電子顕微鏡(STEM等の最先端電子顕微鏡操作が欠かせない20nm界面活性剤の自己組織化を利用したメソポーラスシリカ薄膜の電子顕微鏡写真。約4nmの細孔がハニカム状に規則的に配列簡易型脳波計ヘッドセット型の脳波計測ユニットで装着が容易でワイヤレス計測が可能.インタフェースなどへの応用実験を実施中准教授橋本昌巳研究から広がる未来卒業後の未来像橋本研究室では、身体の様々な情報を取り出し、医療やコミュニケーションに利用することに取り組んでいます。通常の機器ではコミュニケーションをとりにくい障がい者の支援方法にも取り組んでおり、最近では視覚や聴覚による刺激に対応する脳波を解析した入力手法や視線を利用した入力装置を研究しています。医療に役立つ分野の計測として、加速度センサによる身体のバランス評価やいびき音の解析、ヒトの表情の変化を捉える試みなど体にまつわる広い分野を手掛けています。ヒトが行動しようとするとき、身体からは様々な情報が発せられています。自分が興味を持つものに視線を向けるでしょう。脳波や筋電位は思考や行動に伴って発生する身体の電気的変化の表れです。このような様々な身体の情報で何が分かり、何に利用できるかは尽きません。約半数の学生は修士課程に進みます。主たる就職先は情報産業・電機メーカーですが、研究に興味をもち、医療機器メーカーに就職する学生もいます。1994年より信州大学助手、2007年から現職。研究分野は生体情報計測やヒューマンインタフェース。脳波を利用したインタフェースのシステム構成図特定の刺激を意識したことを脳波から察しようとする試み⾃然なヒューマンコンピュータインタラクションを⽬指して電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】高校生の頃までは電子回路などに興味を持っていましたが、進学にあたって自分にとってちょっと目新しい情報工学に進みました。大学時代に大きな病院に掛るようなこともあり、なんとなく自分の身体に興味を持ち始めたことが今の分野に入ったきっかけと思います。幸い、大学に関連分野の研究室もありその研究室に配属され、一層、面白味を感じました。病気や障がいで不自由な思いをしている人の手助けをしたいと思って研究を進めています。32

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