工学部_研究紹介_2020_日本語版
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エレクトロニクス、情報技術の進歩は、インターネット、携帯電話など、新しい産業・サービスを創出しています。特に、集積回路の微細化は様々な機能を低コストで実現し、コモディティ化により、医療、農業といった様々な分野に応用されるようになってきました。商品を差別化するためには、集積回路を自らカスタマイズ(設計)し、使いこなす必要があります。研究室では、集積回路設計技術を用いて、新しい計算機アーキテクチャを開発し、ソフトウェア、アプリケーションと協調した新たなシステム・サービスの構築を目指します。技術がコモディティ化する中で、「尖った」競争力あるモノを実現するためには、集積回路設計技術が不可欠です。センサ、デバイスといった要素技術から、回路、アーキテクチャ、ソフトウェアまでを研究領域とします。技術の出口まで意識して研究を行うことにより、ICT(情報通信技術)の発展に貢献します。デバイスに関係する物理的な背景から、測定技術やソフトウェアの内容まで、非常に幅広い分野を学ぶとことができます。また、自らが課題をやり遂げた、という成功体験は、どの分野に進んだとしても、将来、必ず役に立つはずです。2002年広島大学卒業、2004年広島大学大学院博士課程後期終了、博士(工学)取得。広島大学、東京大学、中央大学を経て、2014年より現職。研究分野は、半導体集積回路設計、計算機アーキテクチャ。集積回路設計技術が切り開く未来:新たなサービス、産業の創出を⽬指して電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】子供のころNHKのテレビ番組を見て、将来は集積回路を自ら作りたい!と思うようになり、世界最先端の微細集積回路を学ぶために大学を受験しました。現在の新しい技術には必ず革新的な電子回路が含れていて、回路設計の重要性はむしろ高まっています。ぜひ、柔軟な新しいアイデアで未来を切り開きましょう。図2集積回路設計の様子。アプリケーションに応じて、仕様を決め、回路図を作成し、それに対応した数十nm精度の配線レイアウトをCADソフト上で描き、半導体チップを設計、試作する。図1測定ボードと集積回路チップ。設計した集積回路試作チップに対して、仕様通り動くかどうかの検証を、測定により確認する准教授上口光研究から広がる未来卒業後の未来像准教授白井啓一郎研究から広がる未来卒業後の未来像夜の星空やホタル舞う幻想的な景色を撮影したけど、思うように写っていなかった。そういう経験はありませんか?暗い場所での撮影は難しく、ノイズが発生しやすくなります。一方、フラッシュを使えば写りはするものの光量の調整が難しく、景色の色合いは白く薄れがちです。でも画像処理を使えば、フラッシュ画像の模様と普通に撮影した画像の色合いを合成して、綺麗な画像を作り出すことが可能です。白井研究室では、人の目で見た景色の「画質」や「臨場感」の再現を目的として、画像処理の研究を行なっています。解決すべき課題として、影や光の反射で見難くなった部分を戻したり、ガラス越し写真の映り込みを消したりなどがあります。これらを解決できれば、更に画質が向上し、その応用分野である画像認識を用いた防犯セキュリティーシステムや、ロボットによる人間の代理行動などの精度も向上していくと考えられます。画像処理というとカメラメーカーを連想しますが、画像処理や画像認識の需要は産業界全体に広がってきていて、電機メーカーや車メーカー等に卒業生を排出しています。また、ゲーム業界などのエンターテイメント分野に進む卒業生もいます。慶応義塾大学博士課程を経て、2006年より助教、2017年より現職。研究分野は画像処理や3D形状処理といった多次元信号処理。暗闇や逆光でも綺麗に撮影。失敗しても後から修正電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】4年生で研究室に配属されてから画像処理や必要となる基礎学問の面白さにハマりました。1年生の頃に習った微積や線形代数、他学科の数理最適化、扱えるようになれば処理方法に幅が広がります。方程式を解く際の数値計算の仕方によって画質や処理速度が変わるのも面白いですね。画像合成によるノイズ除去。フラッシュ画像(左)の模様とノンフラッシュ画像(中央)の色合いを合成して作り出された画像(右)情報が欠落した画像データ(左)からの画像の復元(右)。画像のもつ特徴をうまく定式化し、方程式を解いていくと、より綺麗に色ムラを抑えつつ復元できる27

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