工学部_研究紹介_2020_日本語版
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助教小形真平研究から広がる未来卒業後の未来像小形研究室では、良いソフトウェアを効率的に作る方法を研究しています。建築での家と同様にソフトウェアにも設計図(モデル)があり、不具合の修正等を含めた開発コストの抑制のためには設計段階でモデルの作りこみが重要となります。当研究室は、Society5.0の社会に向けて今後ますます重要となるがチェックや作りこみが難しい「使い易さ(ユーザビリティ)」を、新規・既存のあらゆる手段を用いて作りこむ方法やその支援ツールの研究を主に行なっています。他にもシステムの安全性をモデルから調べたり、モデルの作り方を教育する方法に関しても研究を行なっています。「使い易さ」の感じ方は人により異なると言われ、工学的なアプローチは難しいように聞こえます。しかし、使い易さを高める技法もまた数百種類以上存在します。小形研究室は、これらの技法を効果的に用いて、ソフトウェアの使い易さを設計段階で効率的に高められる方法を探究します。「モデリング」には、物事の要点を的確に捉えて説明する、高度な抽象化能力が必須です。そして、この能力は企業が求めるコミュニケーション能力の本質と言えます。同研究を通して、その能力を高めた有能な人材の輩出を目指しています。モデル駆動ユーザビリティエンジニアリング:使い易いソフトウェアの設計法を探究して電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】私が「ソフトウェア工学」という言葉を知ったのは、高校3年生の終わり頃でした。当時は「ゲーム」を作りたくて、触ったこともないオブジェクト指向プログラミング言語Javaを独学で覚えました。プログラミング言語を知るほど、様々な、けれども複雑で大きなアプリケーションを作れるようになり、次第に「如何によいソフトウェアを早く作れるか」に興味が移りました。実は、それが「ソフトウェア工学」の目指すところでした。その必要性と面白さからこの分野を選んだのです。芝浦工業大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。2012年より現職。オブジェクト指向開発技術、モデル駆動開発技術および要求工学手法に関する研究に従事。ユーザビリティ評価支援ツール:Webブラウザへの操作を記録し、そのデータを解析して開発者に役立てるユーザビリティを高めるための設計部品のパターン:これらをモデルへ着脱することによって、ユーザビリティを考慮したカスタマイズを容易に行える岡野研究室ではソフトウェア開発をサポートする諸技術の研究を行っています。ソフトウェアは要求文書に始まり、どのように作るかという設計文書、そしてプログラムコード、テストスイートなど複数の中間生成物からなっています。またこれらは相互に関連付けられています。これらの生産物に対して解析を行って、種々の性質を検証したり、工数などを予測することがソフトウェアの信頼性保証として重要です。これらの技術について小形研究室と共同して研究を行っています。准教授岡野浩三研究から広がる未来卒業後の未来像高信頼ソフトウェア開発技術は今後、AI、IoTなどの技術が主体となる社会を支える情報システムを安心・安全に使う上でますます重要になります。高信頼ソフトウェアを開発する技術を持ったソフトウェア技術者の活躍の場がますます広がると思います。半数の学生が大学院に進学します。その後は、研究を通して得た技術、経験をもとにソフトウェアや組み込みシステムの開発・研究に企業等で活躍しています。大阪大学大学院基礎工学研究科修了。博士(工学)(大阪大学)。2015年より現職。ソフトウェア工学、とりわけ仕様記述と検証技術に関する研究に従事。信頼できるソフトウェアづくり:「設計書」から「コード」まで電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】ソフトウェア工学の研究者になった理由の1つは、逆説的ですが、ソフトウェア作成が苦手であったことです。自分のような、あわてんぼ(書き間違えが多い)で、理解しているはずのアルゴリズムを実装するときに誤りをいれてしまう(論理的バグの混入)人間でも高信頼ソフトウェアを開発できる方法が「コンピュータを活用することにより」きっとあるはずだという考えで取り組んでいます。子供のころは電子工作に興味を持っていました。その発展として、コンピュータに興味を持ち、当時としてはまだまだ珍しかった「情報工学科」に入学し、今の自分があります。SAWアーキテクチャを用いたプログラム等価性検証の自動化要求仕様からの自然語解析を用いた要求検証22

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