工学部_研究紹介_2020_日本語版
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光はエネルギー源としての利用から情報通信分野に至るまで生活に不可欠なものとなっています。田中研究室ではその中でも紫外光と可視光によって引き起こされる化学現象を研究対象とし、現在は有機ハロゲン化物の光分解を実験および量子化学計算から考察しています。また、高分子中の有機化合物の光照射による色(光吸収・発光)変化のメカニズムについても研究しています。准教授田中伸明研究から広がる未来卒業後の未来像光照射に対する分子の応答(挙動)は波長に依存します。光励起する電子状態によって結合解離反応や異性化反応等違いが出てくることが計算をするとはっきりします。このような性質を理解すると環境浄化や有機合成を効率的に行うことができると思います。研究室ではロボットにならず、自分で考える習慣を身に着けることが大切です。何日も考え続けていると、いいアイデアは机でなくても浮かんできます。こういった経験は自信となって将来いかされることでしょう。助手、助教授を経て2007年から現職。主な研究分野は、光化学、計算化学。光の基礎を学びませんか【私の学問へのきっかけ】オゾン層破壊についての記事を雑誌で読んだのがきっかけ。紫外光によって容易にフロンガスが光分解し、解離した塩素原子による連鎖反応が誘起されオゾンが減少するとありました。どうにかならないのかと思っていた時に受講した光化学の集中講義で関連した話題が出てきたため、大学院はその研究室に決めました。物質化学科低温マトリックス単離装置1.00.80.60.40.20.0absorbance900800700600500400300wavelength/nmPRPR可視光照射によるアニオン種生成准教授野﨑功一研究から広がる未来卒業後の未来像野﨑研究室では、自然界に生息する微生物から有用な酵素を見つけ出し、バイオマスの分解と利用などに活用する研究を行っています。バイオマスは再生可能な資源であり、主に微生物の酵素によって分解されます。この分解システムは、生物が長い進化の過程で獲得してきた効率的なものです。人類がこれををうまく利用するためには、必要な酵素を取り出し、大量生産し、さらには活性や機能、安定性を上げることによって、目的の化学反応に適したものに改良する必要があります。我々とともに微生物がもつ未知の機能を探索し、バイオマス利用の可能性を追求してみませんか。微生物は人類にとって有用な酵素を生産しています。野﨑研究室では、微生物のバイオマス分解酵素の生産性を上げたり、遺伝子組換え技術で酵素の性質を改良する研究を行っています。これにより、環境調和型の化学プロセスが実現できると考えています。酵素の利用分野は、化学、医薬、食品、農業、繊維や環境など多岐にわたっています。また、研究室で習得できる実験技術は、化学系や生物系などの企業で活用できます。より高度で専門的な研究を行うため、修士課程や博士課程の大学院に進学する学生もいます。北海道大学を卒業後、信州大学助手を経て、2005年より現職。青森育ちで自然と田舎を愛する。専門分野は、酵素化学、遺伝子工学。微生物酵素の基礎と応用研究を行う。⽣体触媒“酵素”の謎にせまる微⽣物酵素の⽣産量・性質の改変と応⽤【私の学問へのきっかけ】青森の自然の中で遊び育ってきました。中学校では科学部を作り,高校では生物部の部長を務め,その興味はますます高くなっていきました。大学に進学して地元を離れたとき,その自然豊かな光景は,ごく限られた地域にしか残っていないことに気づきました。大学の講義では,生物の精密機械のようなシステムに感激し,学生実験では生物触媒「酵素」に魅了されました。気づいた時には,研究にドップリとはまっていました。物質化学科微生物からDNAを抽出している実験(左)と無菌的なクリーンベンチ内で微生物を植え付ける大学院生(右)酵素セルラーゼで分解した後の様々なセルロース14

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