工学部_研究紹介_2020_日本語版
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教授樽田誠一研究から広がる未来卒業後の未来像セラミックスは有用な性質や機能がたくさんありますが、「脆いこと」と「加工が難しいこと」が大きな弱点です。樽田研究室では、セラミックスへナノカーボンや雲母などを複合化して、脆さを改善する研究や機械加工を可能にする研究を行っています。雲母は化粧品や塗料など様々な分野で利用されている物質で、物質化学科の前身の工業化学科・合成化学科の時代から雲母に関する研究を継続して行っています。樽田研究室でも、雲母に関する研究を引継ぎ、上記の複合体の他に、雲母のイオン伝導や透明な雲母セラミックスなど、常識を覆す研究に取り組んでいます。材料化学は、幅広い分野の内容を含みます。それらの知識・経験を身につけることで、どんな分野の製造業にも対応できます。卒業生・修了生の多くは、いろいろな製造業へ就職していますが、特に、修了生は化学・材料分野の企業への就職が多い傾向にあります。長野市出身。大学院博士課程を2年で中退して、信州大学工学部に平成元年4月に助手として赴任。講師、助教授を経て現職。専門は無機化学、無機材料化学、セラミックプロセッシング、セラミック物性。セラミックプロセッシングを駆使した新材料の創成-⾮常識な材料をめざして-光る雲母塊左:可視光下,右:紫外線照射(発光状態)電子レンジを使用しての合成も可能物質化学科人類は、石器からはじまり金属や樹脂など新しい材料を開発・普及することで、便利で豊かな暮らしができるようになりました。最近では、パソコンやスマホが、そこに使用されている材料の進化で、小型化や高性能化して普及し、人々の生活スタイルが一変しました。このように、新しい材料の開発は世の中を全く別世界へ変える可能性があります。機械加工ができるマイカ複合ジルコニアセラミックス(左上)表面のマイカをイオン交換した状態(左下),イオン交換する前の表面に発生させた圧痕(右上):発生した亀裂が長い、イオン交換した表面に発生させた圧痕(右下):発生した亀裂が短い,強化ガラスと同様の強化が期待される【私の学問へのきっかけ】大学生のとき、所属学科は材料系というわけではありませんでしたが、材料に関した授業を聞き、材料って面白いかもと思いました。ちょうどそのときに起きた「セラミックブーム」に乗っかり、今に至ります。当時、セラミックスには夢や希望で満ち溢れていました。【私の学問へのきっかけ】大学生のとき、所属学科は材料系というわけではありませんでしたが、材料に関した授業を聞き、材料って面白いかもと思いました。ちょうどそのときに起きた「セラミックブーム」に乗っかり、今に至ります。当時、セラミックスには夢や希望で満ち溢れていました。教授手嶋勝弥研究から広がる未来卒業後の未来像『信大クリスタル』自然界で結晶・鉱物が成長するメカニズムに学び、手嶋研究室では最先端の先鋭結晶材料を創成しています。古くて新しい結晶育成技術『フラックス法』が信大の独自技術として世界で認知されて『信大クリスタル』が誕生しました。特に、次世代バッテリー(全固体Liイオン電池)、ソーラー水素製造(可視光応答光触媒)、浄水デバイス(イオン交換体)あるいは生体デバイス(バイオマテリアル)などに用いられる単結晶材料を世の中に提案・供給しています。今後も、周期表の端から端までをキーフレーズに、さまざまな先鋭材料を創出し、社会に貢献します。結晶とは、原子や分子が規則正しく並んだ物質で、物質そのものの性能を最大限に発揮します。手嶋研究室では様々な分野で活躍するウルトラマンのような優れた結晶材料をコツコツと作っています。日々の努力の積み重ねが自身の未来を切り拓きます。手嶋研究室では、特に環境・エネルギーに関心をもつ先鋭材料・デバイス研究者を輩出しています。卒業生・修了生は、アカデミック分野をはじめ、化学・材料系、自動車・エネルギーあるいは電機・精密機器などの幅広い分野で研究者・技術者として活躍しています。名古屋大学で博士(工学)を取得後、2005年信州大学助手を経て、2011年より現職(先鋭材料研究所長・学長補佐兼務)。2019年に卓越教授の称号付与。研究分野は無機化学・表面科学。夢七訓を胸に刻み、日々研究・教育に励む。元々、丸坊主で白球を追い続けた野球少年。【私の学問へのきっかけ】わたしは、ひたむきな野球少年として高校生まで過ごしました。しかし、野球の最中に前歯を折ってしまい、父の勤める歯科医院でその治療を受けました。その際、ある顆粒(白色粉末)を手渡されました。神経を取り除き、半分になった前歯の空洞にこの顆粒を詰めました。差し歯と生体の親和を促進するんだと教えられました。これがアパタイト(顆粒)との出会いであり、そのときはとにかく『すごいな』という気持ちで、化学に興味を抱きました。大学での研究室選びでアパタイトを研究する研究室に飛び込みました。この瞬間、わたしは無機結晶研究の第一歩を踏み出しました。物質化学科『信⼤クリスタル』発進!先鋭材料研究を⽀えるフラックスサイエンス重金属イオンを除去するフラックス育成結晶を搭載した携帯型浄水ボトル『NaTiO(ナティオ)』(2018年12月25日発売)左上差込図:『信大クリスタル』ロゴ信大クリスタルが拓くミライ(SDGs17への貢献)11

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