人文学部_学部案内2020
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From ProfessorsFrom Professors28そも辞書の内容を信用していいのだろうか。辞書とはいえ, 人間が作ったものですから, 間違いであるとか, 説明不足のところもあるかもしれない。だから言葉の意味を知るには, 自分自身が, その言葉の意味を文献の中で模索していかなければならないということになります。すでに人が作った何かに頼って意味を知るだけではなく, 自分自身が調べながら意味を把握していく, というところも非常に大きく違いますし, テクストそのものが, 加工されて与えられたものではなくて, 眼の前にある当時の——江戸時代ならば江戸時代の当時の——テクストそのものを自分自身が扱うための能力を身につけていく。そういうところが一番大きな違いかなと思います。だから, よく一年生の人から, 「先生, これ何から始めたらいいんですか?」という質問を受けるのですけれど, 何から始めるのかも自分で考えてみようか, って私は答えたりしますね。自分で主体的に問題点とかテーマを考えたり見つけたりしなければならないというところが, 大学生になりたての一年生にとって一番大きく戸惑うところだと思います。——では, 先生から見て, 私たち学生はどのように見えますか?——信州大学人文学部の学生諸君は, 本当によく勉強されてると思います。本音で(笑)。自分で文章を読んで, こういうところがこの文章を理解するために重要なんだ, という問題点を発見する力が非常に高いと私は思っているんです。けれど, やっぱりゼミに入りたての2年生の最初の頃に比べて, 3年生になると成長したな, とか, 4年生になって卒論を書く段になると, 「あ, こんなことも知ってるんだ。春休みの間にいろんな本を読んだんだろうな」とか, 年々やっぱり成長していくんだな, と思うことはありますね。 逆に言うと, 私たち教員が授業で皆さんにお伝え出来ることは——例えば日本文学であれば, その分野のごく一部のことしか授業では取り上げられないので, そのほかのことは, それこそ自分で疑問点を見つけ, 興味を持ったことに対して, どんどん図書館などを活用して情報収集に努めるとか, ものを知るために努力していって欲しいな, とは思っています。——高校生に一言。——人文学っていうのは, 人間に係わることはすべて人文学であると考えると, 非常に広い学問領域なんですね。人間活動そのものとか, 社会的な営みであるとか, 歴史的に残されてきた様々な文献って世界中にあるので, その文献や情報に̶速水̶速水

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