人文学部_学部案内2020
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1965年に東京都で生まれる。 1985年慶應義塾大学入学。 1991–92年アイスランド政府奨学金給付アイスランド大学留学。 2015年5月–信州大学人文学部教授。 主要論文:‘Agony of Agnostos Theos: Descriptions of Grendel as NatureGenius’ 『「ベーオウルフ」とその周辺̶忍足欣四郎先生追悼論文集』(春風社, 2009) 161-82; 「トールキンのファンタジー:創造力の源泉としての中世英語・中世北欧文献学」『探求するファンタジー:神話からメアリー・ポピンズまで』(風間書房, 2010) 181-225; 「北欧語から英語への借入語としてのTroll」『信州大学人文学部人文科学論集』46 (2012) 69-83. などなどFrom Professors20中世北欧の文献学というのは, ちょっと聞きなれないですね。——21世紀の今はまさにホットな分野です。アイスランドなどの北欧に伝わる写本資料, ルーン文字で書かれた碑文から北欧神話や中世の英国や北欧の文化や言語, 歴史を探ることになります。18世紀にようやく知られることになったこれらの資料には, 研究する素材がまだまだ山ほどあります。——トールキン研究についてはどうでしょう。——オクスフォード大学の教授でもあった文献学者トールキンの研究です。先ほども紹介した最古の叙事詩『ベーオウルフ』についても, トールキンは他を凌駕する成果を残しています。北欧の英雄ベーオウルフが, 怪物グレンデルとその母親を退治し, デンマークに平和をとりもどす。ベーオウルフはスウェーデン南部の王になるが, 火を吹く龍を倒して自分も死にいたる, といった内容です。以前には, デンマーク王家の歴史を伝える文献として理解され, そのファンタジーの要素は徹底的に無視されました。トールキンはそんな解釈をひっくり返し, この作品は怪物退治の物語だからこそ価値があるのだ, と論じて人々の『ベーオウルフ』を見る目を変えました。——面白いですね。文献学としての英語学。——自分に興味があることをとことんつきつめていくことができる。大学での勉強って, そういうところに意味がありますよね。­­——­­——インタビュアー | 護山真也̶伊藤̶伊藤̶伊藤 

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