人文学部_学部案内2020
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19From Professorsときには, たとえ自分が勉強したい, これがやりたいと思っていることがあったとしても, いろんなところに目を向けて, 広い視野を確保することが大事ですね。そこから新しい扉が開かれるから, って。——大学時代は英語づけの毎日だったんですか?——ミュージシャンになるという夢があったものだから…。授業よりも音楽活動を優先している時間が長かったです。でも, 高宮先生の演習だけは欠かさず出ていました。厳しい演習でしたけど, 多くのことを学びました。卒論では「神話と言語」というタイトルで, 哲学者カッシーラーなどの著作も使いながら, 言語的なものと神話世界とのつながりを考えました。——優秀ですね。——いやいや, 「中世英文学史」という授業があったのですが, その評価がBで…。それがすごく悔しかったものだから, 単位はとれたけれども, 4年生のときにもう一度受講しました。その授業では, 後に僕の研究につながる最古の英文叙事詩『ベーオウルフ』やチョーサーの『カンタベリ物語』などが取り上げられていたんですが, 僕はテキストの用語集(Glossary)を自分で作って勉強しました。そのあたりからですね, 文献学の面白さを強く認識するようになったのは。——どういうことですか?——つまり, 文献学というのは, 言ってしまえば文学と言語の境界にあるものです。特に『ベーオウルフ』などの中世英語文献を味わうためには, 言語学的な知識が欠かせないわけです。言語を深く知ることで, はじめてその文学の価値が分かるんです。——現在への繋がりが確認できますね。ご専門のことをお聞きしたいのですが?——大きくは三つの専門を研究しています。一つ目は, 中世英語(文献)学です。これはそのまんま。二つ目は, 中世北欧の文献学です。そして, 三つ目がトールキン研究。——̶伊藤̶伊藤̶伊藤̶伊藤

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