人文学部研究紹介2019-2020
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6主要学術研究業績所属学会と学会での活動経 歴研究から広がる未来と将来の進路●研究分野哲学・芸術論コース●教授 金井 直美学美術史学,キュレーション芸術コミュニケーション分野●現在の研究テーマ1.彫刻を考えなおす〜18世紀後期から19世紀初めにかけて活躍した彫刻家アントニオ・カノーヴァの作品研究を起点に,複製・表面・受容・制度など,彫刻をめぐる多様な論点について,調査・研究・発言をおこなっています。その対象は古代彫刻から近現代彫刻,インスタレーションまで広範ですが,最近はとくに石膏像の歴史と機能,近代的なモニュメントの出現・展開について関心をもって研究しています。2.現代美術と切り結ぶ〜元美術館学芸員という経歴・経験を活かしつつ,現在もキュレーターとして活動しています。あわせて現代美術に関する執筆・批評もおこなっています。3.ミュージアムと歩む〜学芸員資格関連科目を担当する一方,長野県内の博物館・美術館の運営に多角的に協力。実践的に博物館の歴史・現在・将来について,考察・発言しています。美術を学ぶということは,たんなる趣味の一領域ではありません。さまざまな時代・地域の創造的な経験にふれることで,現在の私(たち)を見つめ直す大切な契機を獲得することです。美術が培う多様性や差異への愛情は,寛容な社会,開かれたコミュニティづくりにも欠かせない要素でしょう。【論文】「不完全に添う」金井直,『小沢剛 不完全―パラレルな美術史』(千葉市美術館展覧会図録pp.26-30,2018年。岡倉天心の語る「不完全」の美学的背景を確認しつつ,その語をもって美術史と石膏像受容史にアプローチする小沢剛の制作の可能性について,明らかにしました。【著書】『彫刻の問題』白川昌生,金井直,小田原のどか,トポフィル,(共著),pp.72-93(「代わりとしてのモニュメント,モニュメントの代わり」),2017年。モニュメントを論ずることで,近代彫刻史の読み直しを試みました。同時に,歴史事象の表象可能性についても考察。【著書】『自然の鉛筆』畠山直哉,マイケル・グレイ,青山勝,ヘンリー・トルボット,金井直,ジュゼッペ・ペノーネ,赤々舎,(共著),pp.64-75(「写真と彫刻 あるいは互恵性」),2016年。彫刻と写真という異なる芸術ジャンルの親和性と,写真技術の確立に彫刻が果たした役割について論じました。美学会,美術史学会,イタリア学会,地中海学会,表象文化論学会に参加。シンポジウムへの登壇や査読(投稿論文の審査)が活動の中心です。2000〜2007年,豊田市美術館学芸員。2007年より信州大学人文学部准教授。2017年より同教授。日印文化協定締結50周年記念美術展(国際交流基金主催)キュレーター(2007年),あいちトリエンナーレ2016キュレーター。

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