人文学部研究紹介2019-2020
34/40

32経 歴●研究分野日本言語文化コース所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路日本近世文学・出版文化研究 日本文学分野●現在の研究テーマ1.江戸時代は,出版文化の発達に伴い大きな社会変容が起こった時代です。それは,人間の生き方・心のありようを映す文芸の内容にも顕れているとの観点から,特に17世紀に成立した浮世草子などの諸文芸について調査分析を行い,当時の人々の考えやものの感じ方の変容,さらには江戸から明治に至る,時代の大きな流れを明らかにしたいと考えています。2.江戸時代の木版本を中心に古典籍の調査を行っています。最近は,長野県内に点在する古典籍の書誌調査を通じ,江戸時代から現代へと繋がる情報の伝達・保存の問題を考えています。古典や歴史は,現代を生きる私たちとは切り離された遠い過去の遺物ではありません。自分たちは,遥かな過去から連なる歴史・文学史の最先端を生きているとの自覚を持って広い視野を保ち,未来への責任を自覚しながら,地に足の着いた思考能力を獲得してほしいと思っています。将来どのような道を選ぶとしても,そのような思考と人文知とは,きっと人生の大きな充実に繋がってゆくでしょう。《著書》『仮名草子集成』第58巻(柳沢昌紀,入口敦志,冨田成美,速水香織,松村美奈編,東京堂出版,2017年11月)  江戸時代初期に成立した書籍群・仮名草子の叢書。各作品について最善本を選定・翻刻し,全作品に解題を付す。58巻では『囃物語』『春風』『春寝覚』を担当する。《論文》「「藩文庫」調査報告:高島藩の場合を例として」(『信州大学人文科学論集』4号,pp.219-237,2018年2月)  白井純・速水香織共著。長野県内に現存する諸藩の旧蔵書を調査し,特に高島藩旧蔵書について,現在までの伝来過程と現状をめぐる諸問題について論じる。「中山道関連書籍の出版に見る三都本屋仲間の相克」(『国語国文』86巻1号,pp.48-64,2017年1月)  江戸時代に数多く刊行された道中記や道中絵図のうち,中山道に関するものを取り上げ,内容の類似と相違とを指摘,それぞれの出版経緯を探る。 所属学会:日本近世文学会,日本文学協会,鈴屋学会,皇学館大學人文學會 委員:日本文学協会委員,皇学館大學人文學會学外委員2007年皇學館大学大学院博士後期課程国文学専攻修了。中京大学国際教養学部非常勤講師,同朋大学文学部非常勤講師,皇學館大学教育開発センター助手,同文学部助手を経て2013年より現職。博士(文学)。●准教授 速水 香織

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る