人文学部研究紹介2019-2020
25/40

23経 歴●研究分野比較言語文化コース所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路現代中国語学中国語学・文学分野●現在の研究テーマ1.現代中国語(共通語)における動詞・副詞の振る舞い,またそれに関連する時間表現に興味があります。中国語は現在・過去・未来といった時制を示す動詞表現を持ちませんが,一方動作の段階(完了・経験・持続etc.)を示すアスペクト表現,更には動詞に後続する補語成分で動作の結果や方向を細かく示したがるという特徴があります。これらについて日本語と対照する手法を主に用いて考察しています。2.現代中国語(共通語)と日本語の間にある,親族呼称や家族関係表現の違いも興味があります。古き時代に漢民族の文字=漢字が日本語に取り入れられたことにより,多くの中国語由来の語彙が日本語の中に入り込んでいますが,言語が異なると,その語彙が示す概念もやはり幾分異なったものになります。同じ植物の種子であっても蒔かれた土壌が異なると違った姿に育つように,語彙もそれが置かれた言語によってまた違った性格を示します。その違いを考察し明らかにすることを目指しています。中国語と日本語の違いを詳細に考察検討することで,それぞれの言語の特徴,ひいては物の考え方の差異までをも深く理解することを目指します。観光から定住まで,様々な形でアジアの人々との交流がますます盛んになる社会においては,その人々について日本人との共通点・相違点を意識することが不可欠です。アジアの言語の一つである中国語について,日本語と対照しつつその特徴・性格を把握することは,その言葉の使い手である人々に対する理解にもつながります。このような人間に対する理解は,私たちの暮らす社会を作る基盤になると考えています。「“家”の日中比較―「家」と「実家」をめぐって―」 『信州大学人文科学論集』5号「親族名称の他称用法に関する現代中日対照比較――“她妈”が「妻」となるときとは?」『信州大学人文科学論集』4号「“其他”と「その他」」『信州大学人文科学論集』3号「“正”の表す「ちょうど」とは何か?―“正想VP1的时候VP2”の訳し方をめぐって―」『信州大学人文科学論集<文化コミュニケーション学科編>』42号「中国語の“偶然”に関するノート」『信州大学人文科学論集<文化コミュニケーション学科編>』40号「マルチメディア時代の外国語教育・III音声・映像再生装置の現状と課題  1.中国語のヒアリング―発音指導における機材利用について」 『信州大学教育システム研究開発センター語学教育カリキュラム研究開発プロジェクトマルチメディア時代の外国語教育』「“有”の談話的機能」 『中国語学』245号日本中国語学会日本中国学会平成9年4月~ 信州大学人文学部専任講師平成22年4月~ 信州大学人文学部准教授●准教授  伊藤 加奈子

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る