人文学部研究紹介2019-2020
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13経 歴●研究分野所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路心理学・社会心理学コース生理心理学,実験心理学心理学分野●現在の研究テーマ1.人が動いているものを「動いている」と知覚できるのはなぜか? 問いはシンプルですが,この問いに科学的な回答をするのはいまだに難しいのです。心理学的にこのテーマは運動知覚といわれていますが,このことに関する実験的な研究を,知覚的な視覚現象と脳の生理学的な反応(脳の磁場変化を捉える脳磁図)との対応づけを試みながら研究しています。2.知覚には様々な錯覚が生ずることが知られており,錯視といわれて多くの研究がなされています。図1は発見者の名前を冠した同心円錯視といわれるものですが,左側の外円は右の単円より少し小さく見えないでしょうか(実際には,物理的に同じ大きさで描かれています)。このように単純な幾何学的な図形で錯視が生ずることが知られており,この問題についてもいまだ心理学的に解決されていません。こんなことを研究しています。基礎的な心理学研究が,すぐに現実の場面や職業選択で役立つわけではありません。しかし,視覚的な錯覚などの影響で交通事故が誘発されたり,動いているはずのものが「動いて見えなかったり」という私たちの認知的な仕組みは,いったいどうなっているのか,という「人の特性についての科学的理解」は,各種の「人を見る目」を必要とする職業一般において役に立つものなのです。今井章・Y.ロセッテイ・P. レヴォル (2018). ディスクの回転による触覚の錯覚現象について(2) 信州大学人文科学論集, 5(52), 41-49. コインを指で回すとその直径が回している方向に延びて感じられる錯覚についての研究Imai, A., Takase, H., Tanaka, K., & Uchikawa, Y. (2016). Magnetoencephalographic correlates of apparent motion illusion of beta movement. Electronics and Communications in Japan, 99, 46-54.  DOI 10.1002/ecj.11785.  仮現運動生起の神経基盤を脳磁図を取得して探った研究今井章・大内剛 (2016). 地域の防犯における標識看板制作の試み─自転車盗難の防止策として─ 地域ブランド研究, 11, 1-13.  自転車盗難の防止策として心理学的な効果を狙った標識看板を作成し,その影響を調べた研究日本心理学会会員(1984年~現在に至る),日本生理心理学会会員( 1986年~現在に至る),同編集委員会委員(2012年~2018年),日本基礎心理学会会員(1996年~現在に至る),日本認知科学会会員(1996年~現在に至る),日本認知心理学会会員(2005年~現在に至る),日本視覚学会会員(2008年~現在に至る),日本生体磁気学会会員(2012年~現在に至る),日本応用心理学会会員(2012年~現在に至る)1989年4月 日本学術振興会特別研究員(PD)1990年4月 名古屋大学文学部助手1993年10月 信州大学人文学部助教授2007年4月 信州大学人文学部准教授2010年1月 信州大学人文学部教授2013年4月 信州大学人文学部評議員・人文学部副学部長2017年4月 信州大学学術研究院人文科学系評議員・学術研究院人文科学系副学系長●教授 今井 章図1 デルブーフ錯視

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